研究概要 |
Hu Xiadzhong博士は、東シナ海沿岸域に出現する浮游繊毛虫の生物相を明らかにするために、長崎大学の臨海実験所が位置する長崎県長崎市の三重港および長崎県時津町の時津港において、週に一度の頻度で、表層水および海底水の採集を行った。 この調査で得られた試水から、浮游繊毛虫をまず最初に分取し、次に、ブアン固定液で固定し、銀染色を施し、永久プレパラートを作成した後、生物顕微鏡下で詳細に観察することにより、出現繊毛虫の各個体の分類・同定を行った。 その結果、この海域における繊毛虫各個体群の季節的消長を明らかにし、同時に、繊毛虫に多様性を焦点としたモノグラフ(海洋繊毛虫の分類体系は、有鐘繊毛虫という特徴的な殻を持つグループを除き、ほぼ手付かずである)を作成する準備を整えた。そして、この研究を通して、繊毛虫下毛類分類群に所属する新種Holosticha nagasakiensisを記載公表することが出来た。 さらに、この研究で対象とした繊毛虫種の中で、下毛類分類群に所属するHolosticha bradburyaeに特に注目し、この種の飼育培養を行うことで、無性生殖である二分裂増殖過程における娘細胞の形態形成を明らかにし、その結果を、「Cortical evolution and morphogenesis of Holosticha bradburyae (Protozoa, Ciliophora) during the asexual reproduction cycle」というタイトルで公表・出版することができた。
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