本研究では、伝統構法が受け継いできた「土」や「木材」といった自然素材の使い方をもう一度再認識し、その良さを生かすよう配慮した。すなわち、 (1)柱には「葉枯らし処理+自然乾燥」した120mm x 120mmスギ正角材を用いる。 (2)柱の両側に「葉枯らし処理+自然乾燥」したスギ製材の厚板(40mm x 240mm)を合わせ梁型でボルト接合する。 (3)ボルトの役割は、合わせ梁を保持することに期待する。 (4)柱-梁接合部の剛性・耐力は、柱-梁間の間隙に堅木の長楔を挿入し、楔と柱木口面並びに梁と柱木口面とのめり込み抵抗によって発現させる。 最初に、柱-梁接合部だけを取り出した実験を行い、接合部の非線形モーメント抵抗性能を定式化した。次に、スパン3.6m、高さ2.7mの実大柱-挟み梁門型架構試験体の静的正負繰り返し実験を行い、架構の非線形変形挙動を仮想仕事の原理に基づいて推定計算した結果、計算値と実測値は非常によく一致した。 一連の共同研究の成果は、国際学会等で口頭発表済みであり、生存圏研究所の所内プロジェクト研究である「エコ住宅21」研究の一環として、現在マニュアルを取り纏め中であり、地域木材を有効活用した環境共生型木造住宅の設計に生かされることが期待されている
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