Fehervari博士は、樹状細胞(Dendritic cells)による制御性T細胞(Regulatory T cells)の活性化の分子機構について研究した。その結果、樹状細胞が歳熟分化すれば制御性T細胞の活性化・増殖を促進する事実を見い出した。彼は、試験管内で、骨髄細胞から制御性T細胞を分化させ、細菌由来lipopolysaccharide (LPS)で刺激し、成熟樹状細胞を調製したのち、これを用いて、試験管内で、制御性T細胞に対する刺激能を調べた。その結果、様々な共刺激分子を高く発現する成熟樹状細胞は、制御性T細胞の増殖を誘導するとの事実を見い出した。この実験結果は、微生物感染において、樹状細胞が活性化されると、微生物に反応するT細胞が活性化され増殖するが、同時に、免疫応答を負に制御性T細胞が増加し、免疫反応の強度の調節に働くと考えられる。この実験事実は、微生物免疫のみならず、自己免疫、腫瘍免疫を考える上で重要である。さらに博士は、成熟樹状細胞に発現するCD80、CD86などの共刺激分子が重要である、即ち樹状細胞の成熟、未成熟に関わらず、CD80/86分子を高発現する樹状細胞がこの機能を持つことを証明した。Fehervari博士は、さらに、制御性T細胞の制御を阻害するモノクローナル抗体を作製し、その抗体の認識する分子を、プロテオミクス技術を駆使して生物物理学的に解析した。その結果、樹状細胞上に発現する組織適合抗原分子は、T細胞一般の活性化のみならず、制御性T細胞に対して特異的な役割を果たしている可能性を見出した。
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