研究概要 |
CeモノプニクタイトCeX(X=P,As,Sb,Bi)は,磁場・圧力下で多段に変化する特異な磁気相図および異常な伝導状態を示す.本研究の目的は,中性子回折およびX線回折を用いて,これらの現象のより正確な理解を目指すことにある.本年度は特に,昨年度以来準備を進めてきた,CeSbの高圧下におけるX線回折と電気抵抗の同時測定を,約3.2GPaまでの高圧下で成功させた.その結果,電気抵抗の急速な増大と格子定数の異常な現象が同じ温度で起こっていることを確認した. さらに,SPring8において,CePについて14Tまでの高磁場下のX線回折の実験を行なった.これは,Ceモノプニクタイドの特異な磁気構造が,特有の超格子変調を伴っていることを利用し,超格子変調構造の観測結果から磁気構造を推定することを試みたものである.実験の結果,6T以下の低磁場側でも,G_8Ce強磁性2重層のCe面で11枚周期の磁気構造を新しく見出すとともに,高磁場側で9枚および8枚周期の磁気構造が存在が存在することを明らかにした.この実験結果は,CePにおいては,磁場が圧力と同様に,特異な磁気構造の周期を段階的に少なくする役割を担っていることを示している. 以上の研究結果は,Ceモノプニクタイトにおいては,系のキャリアー数が極めて少数である事による磁気ポーラロン効果と,これに対する磁場あるいは圧力印可の効果が,系の特異な物性に寄与していることを明らかにしている.
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