研究概要 |
最近、筒井らは生殖腺刺激ホルモンの放出を抑制する新規視床下部ペプチドをウズラから同定して生殖腺刺激ホルモン放出抑制ホルモン(gonadotropin-inhibitory hormone, GnIH)と名付けた。GnIHの作用機構を明らかにするために、本研究ではGnIH受容体の同定を試み、機能解析を行なった。 鳥類から同定されたGnIHはC末端側にRFamide構造を有する12アミノ酸残基のペプチドである。一方、GnIHと同族のラットRFamideペプヂド(rat RFRP)の受容体が最近同定された。そこで、この受容体の構造を基に、3',5'RACE法を用い、ウズラの間脳からGnIH受容体cDNAのクローニングを行なった。クローニングされたcDNAは全長が1479bpであり、ORFが1197bpであった。アミノ酸配列は399aaであり、7つの疎水性膜貫逓ドメインがあることから、G protein-coupled receptor(GPCR)と推定された。 さらに、同定されたこのタンパク質がGnIHの受容体であることを確認するために、哺乳類細胞(COS-7)に一過的に強制発現させて、ligand binding assayを行なった。Scatchard plot解析により、このタンパク質は、GnIHとGnIH遺伝子関連ペプチドと高親和性の結合を示すことがわかった。以上の解析から、同定したタンパク質はGnIH受容体として機能していると考えられる。 また、RT-PCR/Southern hybridization法により、GnIH受容体mRNAの発現部位を解析した。その結果、GnIH受容体mRNAは脳下垂体と間脳などの様々な脳領域に発現することが確認された。GnIH受容体mRNAは脳下垂体に発現していることから、GnIHは脳下垂体に直接作用して生殖腺刺激ホルモンの放出を抑制することが考えられる。さらに、GnIH受容体は視床下部のある間脳にも発現していることから、GnIHは視床下部にも作用して生殖腺刺激ホルモン放出ホルモンの放出を抑制する可能性がある。 以上な研究結果は日本動物学会において発表し、本年度中に国際誌から掲載される。
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