研究概要 |
<溶存一酸化炭素濃度及び同位体組成測定用の一酸化炭素抽出ラインの作成及び検討> 海水中の一酸化炭素濃度及び同位体組成の測定での最大の問題は、海水試料の状態では数日以上保存ができないことである。そのため、一酸化炭素濃度及び同位体組成の測定は船上で行うことが望ましい。濃度測定の場合、測定装置が小型であるため船上分析が可能であるが、同位体組成は船上では分析は出来ない。そこで、気体試料中の一酸化炭素は数ヶ月程度保存できる点を利用し、一酸化炭素を船上で抽出・精製し、実験室に持ち帰って測定を行うシステムの確立を行った。一酸化炭素の低い溶解度を利用して、海水試料(約2L)から真空中で一酸化炭素を抽出・濃縮する新しい種類のシステムを構築した。これは、一酸化炭素以外の気体成分(例:炭化水素類)の大量抽出にも有用な方法と考えられる。 <外洋試料の測定> 海洋科技センターの観測船の航海に参加し、新しく確立した一酸化炭素抽出・濃縮システムを用いて、外洋における一酸化炭素濃度及びその炭素・酸素安定同位体組成の測定に成功した。表面海水については、西部北太平洋の2地点において、24時間連続観測を行った。また、水曜海山の熱水プルーム中の一酸化炭素の測定も初めて行い、一酸化炭素が深海底熱水活動の新たな指標に成りうることが示唆された。 これらの結果については、国内外の学会やシンポジウムに参加し、成果発表を行った。 主な2件を以下に示す。 中川書子・角皆潤・蒲生俊敬・吉田尚弘・KR01-15乗船研究者 西部北太平洋(水曜海山海域)における一酸化炭素の安定同位体組成 地球惑星科学関連学会2002年合同大会、2002年5月27-31日、東京 Fumiko Nakagawa, Urumu Tsunogai, Toshitaka Gamo, Jun-ichiro Ishibashi CO enrichment in hydrothermal plumes : Suiyo seamount, Izu-Bonin arc 2002 AGU Fall Meeting,6-10 December 2002,San Francisco, California, USA
|