研究課題/領域番号 |
02J00211
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
熊野 了州 北海道大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 真社会性進化 / 原始的真社会性昆虫 / アシナガバチ / 可塑性 / 利他行動 / Polistes chinensis / 原始的真社会性 / 進化 |
研究概要 |
アリ・ミツバチ・スズメバチなどの昆虫では、主に繁殖を行う個体(女王)と、主に労働を行う個体(ワーカー)が1つのコロニーで共存しており、社会性と呼ばれている。なぜ一部の昆虫で真社会性が集中的に進化したのか?アリやミツバチといった多くの社会性昆虫を含む膜翅目では単倍数性決定システムを持つ。単倍数遺伝システムの下では、メス姉妹間の血縁度は母子間の血縁度よりも高くなり、自身の子どもの養育よりもワーカーとして妹の養育を行う方が有利になることがわかっている。そのため、従来の研究ではメス間の高い血縁関係が社会性進化に重要な働きをもたらしたと考えられ、集中的にメス間の血縁度の測定と社会性進化の関係が議論されてきた。しかし、多くの研究で姉妹間の血縁度が期待される血縁度を下回る例が示され、メス間の血縁度の高さだけでは社会性進化を説明することが不可能であることが明らかになっている。近年、血縁度を重視した真社会性進化の説明に代わり、利他行動の発現条件といった、真社会性の維持条件を生態的要因で説明する研究が重視されているが、野外での量的なデータに基づいた研究は少ない。本研究では、フタモンアシナガバチの第一ブルードメスがワーカーとして真社会性に参加する至近要因を野外調査で調査した。その結果、母巣を利用して真社会性を維持する場合、構造としての巣の大きさが真社会性参加の重要な要因となった。一方、母巣を放棄し新たな巣を再建して真社会性を維持する場合、多数のコロニーメンバーの存在が真社会性参加の重要な要因となった。このように、アシナガバチの第一ブルードメスは、コロニーや個体のおかれた状況に応じて意思決定を行い利他的に振る舞っていることが明らかになった。
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