研究課題/領域番号 |
02J00681
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
野中 里佐 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 助手
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | テトラサイクリン / 薬剤耐性 / 遺伝子伝達 / 海洋細菌 / 16S rRNA / リボソーム保護 |
研究概要 |
平成14年度は香川県の健康養殖ブリ由来腸内細菌、香川県及び韓国の養殖場由来の病魚より分離された細菌、および海水由来細菌に臨床及び畜産の現場および土壌由来の多くのグラム陽性・陰性細菌から検出されるtet(M)遺伝子が分布していることを明らかにした。平成15年度(4月1日から7月31日)は、これらのtet(M)を保有する、養殖ブリ腸内由来菌14株、海水由来菌3株について、PCRを用いてトランスポゾンTn916の検出を行い、ブリ腸内由来菌10株、海水由来株2株がTn916を保有していることが明らかにした。さらにサザンハイブリダイゼーションを行い、これらは細菌のクロモソーム上にコードされていることを明らかにした。Tn916は通常tet(M)と関連して見出され、細菌から細菌へtet(M)を伝達するconjugative transposonとして知られており、海洋環境中でもTn916がtet(M)の伝播、分布に重要な役割を果たしていることが示唆された。 また平行して平成14年にひきつづき平成15年7月までカナダ、アルバータ大学医学部,分子微生物・免疫学教室(Department of Molecular Microbiology and Immunology)で研究活動を行った。テトラサイクリン耐性を示す細菌では、16S rRNA上に変異をもつものが報告されている。この変異はテトラサイクリン結合部位付近にみられることから、我々はテトラサイクリンとその作用部位の親和性の変化が耐性に関与しているという仮説をたてた。本実験ではクロモソーム上にコードされた7つのrrn遺伝子(16S rRNA遺伝子)を人為的に欠損させ、プラスミド上にのみrrn遺伝子を持つよう設計された大腸菌を用い、テトラサイクリン耐性と関係があると予測される16S rRNA遺伝子上の変異を人為的に導入し、導入された変異がテトラサイクリン耐性に与える影響を評価した。すなわち、得られた変異株のテトラサイクリンに対する最小発育阻止濃度(MIC)の測定を行うとともに、これらの変異体からのリボソームの抽出を行い、テトラサイクリンに対する親和性を測定した。その結果、テトラサイクリンに対する耐性が高い株ほど、そのリボソームはテトラサイクリンに対して低い耐性を示したことから、テトラサイクリンの作用部位の変異は細菌の耐性化に関与していることが明らかとなった。
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