研究課題/領域番号 |
02J01624
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
工業物理化学
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研究機関 | 名城大学 (2003) 京都大学 (2002) |
研究代表者 |
湯村 尚史 名城大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 密度汎関数法 / メタンモノオキシゲナーゼ / 軌道相互作用 / 遷移状態理論 / 速度論的同位体効果 / C-H結合活性化 / 高性能触媒 / 密度汎関数 |
研究概要 |
メタンをはじめとする飽和炭化水素は強固なC-H結合を有し、化学修飾の困難な物質群であることが知られている。このメタンのC-H結合を効率よく活性化する生体内酵素としてメタンモノオキシゲナーゼが知られている。この酵素は、常温常圧という温和な条件化でメタンをメタノールに転換するという驚異的な触媒機構を有するため、その反応機構に大変興味が持たれている。しかしメタンモノオキジゲナーゼによるメタンのC-H結合活性化機構に関しては、その活性中心である鉄二核構造の配位環境すら明らかではない。そこや本研究は、メタンモノオキシゲナーゼによるメタンーメタノール転換反応の機構を密度汎関数法を用いて解明することを目的とする。 まず上記の反応機構を理解する上で、同種のアルカン酸化反応を起こす気相中遷移金属酸化物イオンの触媒作用についての研究を行った気相中遷移金属酸化物イオンは、メタンモノオキシゲナーゼの活性中心のもっとも簡潔なモデルであり、アルカンと遷移金属酸化物との本質的な相互作用を理解する上で大変重要である。ここで遷移金属酸化物イオンにはVO_2^+を、アルカンにはエタン、プロパンを選択し、VO_2^+によるアルカン酸化反応を実験、理論の両面から解析を行った。そり結果、アルカン酸化反応において、一重項状態および三重項状態のポテンシャル曲面が接近しており、スピン反転の可能性が示唆され、この効果により生成物の分岐比が支配されることを見い出している。 次に、メタンモノオキシゲナーゼの活性種として配位環境の不飽和な鉄一オキソ種を含むダイヤモンド構造を仮定し、そのメタン酸化反応に関する理論的研究を行った。その結果、メタンの水素原子は、メタンと鉄の軌道相互作用により、一種の分子内転位のような形で引き抜かれることを提案している。さらに、遷移状態理論に基づき速度論的同位体効果(KIE)を算出したところ、実験的に得られたKIEとの良好な一致を示した。このことから、高性能触媒であるメタンモノオキシゲナーゼはメタンの水素原子が直接オキソ種に引き抜かれメチルラジカルを生成するのでけなく、二段階協奏機構で進行することを見い出している。 結果をまとめた論文については既に掲載済みである。
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