研究課題/領域番号 |
02J01627
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
正岡 重行 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 錯体化学 / 多核 / π共役系 / 多座配位子 / 電子アクセプター / ベンゾキノン / ヘキサアザトリフェニレン / 超分子 |
研究概要 |
本研究では、π共役系多座配位子と遷移金属イオンとから構成される多核金属錯体の合成、及びその性質に関する研究を展開してきた。その研究成果は、以下に要約される。 1)p-ベンゾキノン配位子を用いた、銅-価多核錯体の構築 酸化還元活性な有機分子であるベンゾキノンは二つの炭素-炭素二重結合を持っているので、遷移金属イオンに対する多座配位子として振る舞うと考えられる。本研究では、酢酸銅(II)とヒドロキノンとの酸化還元反応を利用する事により、ベンゾキノンを配位子とし、これまでにない全く新しい構造を持つ銅(I)二核錯体の合成に成功した。更にこの二核錯体の^<13>C-NMR、及びDFT計算から、通常の銅(I)オレフィン錯体では見られない非常に強いπバックドネーションが働いていることを明らかにした。 2)銅(II)-ベンゾキノン二核錯体の結晶化に於ける、超分子異性現象の発現 上記の方法により合成された銅(I)-ベンゾキノン二核錯体は、その結晶化に於いて、酢酸銅型およびベンゾキノン錯体型の集合様式をとりうる。その結果、反応温度や濃度の変化に応じて、三種類の超分子異性体が形成された。更に、これら三種類の超分子異性体における赤外吸収スペクトルおよび固体高分解能^<13>CNMRの測定を行った結果、集積構造に応じた顕著なスペクトル変化が確認された。 3)ヘキサアザトリフェニレン(HAT)誘導体を用いた環状六量体の構築 HATは大きなπ共役系を有する多座配位子であり、更にそのπ^*軌道のエネルギー準位が通常の共役有機分子に比べ非常に低いところに有るために、優れた電子アクセプター性を示す。本研究では、そのHAT誘導体に合理的な化学修飾を施すことにより、自己集合的なナノスケールの環状六量体の合成に成功した。更に、その環状六量体内において、架橋コバルトは七配位の珍しいジオメトリーを有していることを見いだした。また、その環中心にコバルトのヘキサアクア錯体を包摂していることを明らかにした。
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