研究課題/領域番号 |
02J01880
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
西洋史
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
梶 さやか 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
|
キーワード | 西洋史 / 近代史 / ナショナリズム / ポーランド / リトアニア / ベラルーシ / 地域研究 / ポーランド:リトアニア:ベラルーシ:ウクライナ |
研究概要 |
今年度は、19世紀前半のロシア領旧ポーランド=リトアニアにおけるヴィルノ大学とその知識人に関して、以下の二点について考察した。一つは、社会批判と教育の普及を目的とした知識人による協会、「ならず者の会」の活動について、もう一つはヴィルノの知識人らの「リトアニア史」研究についてである。前者に関しては、2004年5月22日の日本西洋史学会において、「19世紀前半ヴィルノ大学知識人と「地域」--「ならず者」が見た社会--」と題して発表を行った。リトアニアやベラルーシの民衆文化への知識人のかかわりと身分制度に関する対応を軸に検討した結果、この協会においては、農奴制改革や農民に対するリトアニア語教育の必要性も議論されていたが、彼らの間では「リトアニア」が、地理的には旧リトアニア大公国の範囲を中心とし、社会的には貴族と知識人など社会上層部から成る共同体として認識されていたとした。後者の問題は、「ヴィルノ大学(1803-1832年)における歴史学と「リトアニア史」と題する論文(本学研究科、21世紀COEプログラム研究報告書所収予定)において論じた。ここでは、19世紀前半に多くの「リトアニア史」、とりわけポーランドとは別個のリトアニアの起源を記した研究が著されたが、概ねポーランドとの合同を当然視していたこと、また、ポーランドとの合同に否定的な立場をとり、のちにリトアニアのナショナル=ヒストリーの典型となるリトアニア史叙述も、「民主的」な歴史への指向やポーランド史とリトアニア史の区分の方法を、ヴィルノ大学を中心とする知的世界から受け継いでいることを指摘した。また、両考察の結果は、ヴィルノの知識人のあいだには、ポーランド語とポーランド文化を基盤にした旧ポーランド=リトアニア「共和国」への帰属意識とともに、「リトアニア」として認識される地域への帰属意識も強く見られたことを示唆している。
|