研究課題/領域番号 |
02J02057
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
無機工業化学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松本 一彦 京都大学, エネルギー科学研究科, 特別研究員(PD) (30574016)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 室温溶融塩 / イオン液体 / ピロリジニウム / ピペリジニウム / 磁場勾配NMR / 会合度 / 燃料電池 / イオン性液体 / 導電機構 / 構造解析 / X線回折 / ルイス酸塩基反応 / 電気化学 |
研究概要 |
本年度はまず、昨年度注目した非芳香族系カチオンであるアルキルピロリジニウムに加えて、アルキルピペリジニウムカチオンにも注目し、これらをベースとして得られるHF系室温溶融塩((cation)(HF)_<2.3>F)が高い導電率を維持しつつ、芳香族系カチオンの場合よりも広い耐電圧を示すことを見出した。より実用的な面を考え、イミダゾリウムの場合も含めて、HF組成の低い溶融塩の開発、物性測定を行ったところ、HFの組成が下がると導電率の低下は見られるが、高温での熱的安定性は向上することがわかった。 次にHF系室温溶融塩の導電機構に大きな影響を与える溶融塩中でのイオンの解離会合について、液体中での化学種の拡散係数を測定する方法として近年注目されている磁場勾配NMR法を用いた考察を行った。その結果、この系ではアニオンのみでなくカチオンも大きな拡散係数を持ち、導電に寄与していることが判った。また、アルキル鎖の長さによって会合度が変化し、アルキル鎖の短いイミダゾリウム塩では解離が進んでいることが示された。さらにイミダゾリウムのような平面的なカチオンを用いた室湟溶融塩の場合、カチオン-アニオン間のみならず、カチオン同士の相互作用も会合という概念に影響を与えることが示唆された。 HF系室温溶融塩はアニオン種にプロトリシスのある水素原子を含むため、これを電解質として用いる燃料電池を構築できると考えられる。HF組成を下げたものを用いれば高温でも無加湿で安定な運転が期待できる。そこで、実際に水素と酸素を用いたビーカー型のセルで起電力測定、分極測定を行った。その結果、二十四時間にわたり1ボルト以上の起電力を示すとともに、水素極側では硫酸や水酸化カリウム水溶液に匹散する高い分極特性が得られた。しかしながら、酸素側の分極特性は、水酸化カリウムの場合と比べ、著しく悪く、既存のNafion【○!R】などと同様に酸素極側の特性の改善が課題として残された。
|