配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
研究概要 |
勝負手探索の理論的考察を深め,従来の相手モデル探索[Iida 1993]で必要とされる相手プレイヤに関する詳細なモデルが得られない状況でも勝負手探索が可能となるアルゴリズムを考案した。ここでいう相手の詳細なモデルとは,相手の棋風に相当するが,対戦者が計算機である場合には,評価関数や先読みの深さなどを意味する。主たるアイデアは,最善応手手順周辺の探索ノード数が最大化するようにすることで局面の複雑化をはかることである。AND/OR木探索の視点では,証明数が大きな値となるような変化に誘導することに相当する。こうすることで劣勢において,相手は最善を選択するのが最も困難な状況になることが期待できる。複雑なゲームでは,提案するアイデアを適用することで,特別な相手のモデルを得ていなくても,自然な意味での勝負手を行うことができる。これまで劣勢の大小に関係なく,通常のミニマックスのセンスで着手を選択すると,全体的レベルにそぐわない奇妙な指し手を選ぶのが計算機の大きな特徴の一つであった。しかし,今回の研究成果により最後まで勝負手を放ち,計算機が人間エキスパートのような振る舞いを示すことが可能となったと言える。 通常の意味での探索アルゴリズムや評価関数の調整を実施して将棋プログラムを作成し,世界選手権などに参加し,その成果を評価した。世界大会で二次予選を2位で予選通過し決勝へと進むことができた。たくさんの試合を行う大会では,優勢な試合を確実に勝ち,劣勢において逆転の可能性を最大化することが欠かせない。そのような意味で,大会の成果は本提案アイデアの有効性を示している。
|