配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
第一に、蛍光法を用いて、ミセル内の水素イオン量と極性の同時かつ二次元的マッピングを行った。昨年度に合成した18種類の蛍光性センサーを、4種の界面活性剤に応用したところ、中性のミセルであるTriton X-100およびoctyl β-D-glucopyranosideでは、センサーの位置をナノメートルスケールで移動させることに成功し、初めてこれらミセル内の水素イオン量と極性の関係を二次元図として表すことが出来た。一方、イオン性ミセルでは、センサーとミセルの間に強い相互作用が働き、蛍光性センサーの細かい位置の制御が不可能であることが分かった。逆説的に言えば、イオン性ミセル内においては、外部からの添加物はその種類によらずある一領域に存在する事が示唆された。 第二に、ナノスペース内で機能する蛍光性論理ゲートの開発を行った。新規に合成した論理ゲートを半径3nmと見積もられているtetramethylammonium dodecylsulfateミセルに包括させた。この系に対し、周囲の条件を種々変化させたところ、H^+とNa^+イオンが共に高濃度で存在するときに限り、強い蛍光を発する事が分かった。この結果は、複数の入力因子に対する蛍光性論理ゲートがナノメートルサイズの空間で機能しうる、という初の証明である。 現在、以上の結果について投稿論文を執筆、投稿中である。それらの受理後に学会報告を行う予定である。一方、昨年度以前の結果を、米化学会Anal.Chem.(2004,76,1793)誌およびJ.Am.Chem.Soc.(2004,126,3032)に公表した。また雑誌「高分子加工」に、温度応答性高分子を利用した蛍光性温度センサーに関する依頼解説を執筆した(2005年2月号p25)。さらに米化学会J.Chem.Educ.誌に蛍光性温度センサーの依頼総説を投稿し、これについては現在印刷中である。
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