研究課題/領域番号 |
02J03018
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
山口 みどり 京都府立大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ジェンダー / 近代史 / イギリス / 男女の分離領域 / ライフコース / 「家族企業」 / 主体性 / 抵抗 / 英国国教会 |
研究概要 |
本研究の目的は、親の職種によるカテゴリ化という新たな視点(牧師の娘を対象)から、ジェンダーをめぐる論争に新たな論点を付け加えることである。本年度の研究実績は以下の通りである。 1、研究報告「『当方牧師の娘』-父親の職からみたヴィクトリア期ミドルクラス女性-」日本西洋史学会第53回大会、2003年5月。ヴィクトリア期の牧師館は教区慈善の本拠地、支配的価値観を広める「ショーケース」であり、牧師の娘達は「無給の牧師補」としてそれを支えた。不況により娘が稼ぐ必要が増すと、牧師館は女性の教育・就業機会拡大の機運を捉え、それをリードした。しかし同時に、家庭に留まり教区で働く娘をも必要とした。成長に従い様々な領域を移動する「娘」に焦点をあて、19世紀の牧師館、女子教育、教会の女性化、国教会の衰退、女性の就業、フェミニズム等の間の隠れた繋がりを露にした。 2、学術論文 「『ホーム・ドーター』-ヴィクトリア期女性のライフコースからみたSeparate Spheres論」 『洛北史学』2003年6月。独身の娘を家庭に残し家族の世話をさせるヴィクトリア期富裕層の慣行に着目し、男女の領域分離の問題を再考した。ミドルクラス女性の活動領域は、公的領域におけるものも含め「女性の領域」を特徴づけるunselfishな義務の延長上にあり、その重要度は経済的価値や名声・効率ではなく、自己犠牲の度合いで判断された。男女の領域分離の問題ではこうした価値観・理念を重視すべきである。 3、シンポジウム報告「兼領制廃止と牧師館の変容-「宗教的家族企業」の誕生」日本ジョージ・エリオット協会シンポジウム、『Scenes of Clerical Lifeを楽しむ』2003年11月。当時の文学作品Scenes of Clerical Lifeを題材とし、19世紀前半に牧師館がいわば「宗教的家族企業」として確立したことを論じた。
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