研究概要 |
今年度、私は2005年打ち上げ予定のASTOR-E II衛星搭載X線CCDカメラに装備される可視光遮断フィルター(OBF)に関する実験、高空間分解能X線望遠鏡(X-mas)の開発、観測的研究として、X線連星パルサーから観測される連続X線の放射メカニズムの解明を目的とした研究を行なった。 OBFに関する実験は、筑波の高エネルギー研究所にあるフォトンファクトリーにおいて、分光X線を用いて、炭素、窒素、酸素、アルミニウムのK吸収端(それぞれ0.27keV、0.41keV、0.52keV、1.49keV)付近のOBFのX線透過率の測定を行った。結果として、ASTRO-E用OBFでは測定できなかったX線微細構造(XAFS)を含んだ緻密なX線透過率の測定を行うことができた(2003,NIMA, in press;2003年日本天文学会春季年会発表予定)。 高空間分解能X線望遠鏡(X-mas)の開発は、X線反射鏡、可変形状鏡、さらに波面センサーを組合せたシステムで、入射X線の画像の形状補正が目的である。今年度は、入射可視光源と波面センサーだけを組合せ、可視光の波面の形状を3~nm rmsの精度でモニターできるシステムを構築した。 前年度の私の研究成果の一つに、X線連星パルサー・ケンタウルス座X-3のX線観測により、鉄輝線が連続X線に比べ(6.0±1.4)×10^<-3>秒遅れて強度変動していることの発見がある。私はさらに研究を進め、連続X線についても、高いエネルギーのX線ほど早く変動していることを発見した。この結果は、既知の逆コンプトン散乱モデルのようなX線放射メカニズムでは説明が付かないことを指摘した(Kohmura et al. in preparation ; The IAU8th Asian-Pacific Regional Meeting, Tokyo, Japan,2002,Julyなどの国際会議で口頭発表をおこなった)。 また、米国のRXTE衛星でAXJ 1820.5-1434の観測を行い、152秒の自転周期を確認し、その公転周期が11日であるX連星パルサーあることを発見した(Kohmura et al. in preparation)。
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