研究課題/領域番号 |
02J03342
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
東洋史
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
水間 大輔 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 秦律 / 漢律 / 睡虎地秦簡 / 張家山漢簡 / 二年律令 / 中国古代 / 刑法 / 律令制 / 東洋法制史 / 中国古代史 / 戦国秦漢史 |
研究概要 |
本研究は、中国古代の秦律・漢律が犯罪一般に対して、総じていかなる処分を行う傾向にあったのかを検討し、当時の国家が律を介して、どのような形態の民衆支配の実現を目指していたのかを解明することにある。このような研究を進めるうえでは、張家山漢簡「二年律令」が史料として有用なので、まずは二年律令の史料的性格の分析、訳注の作成、研究動向の整理、各犯罪に対する処罰の原則の解明など、研究にとってのいわば基礎作業を行った。そのうえで、それらの研究成果を踏まえ、本年度は研究計画通り、事後共犯、及び作為犯・不作為犯について検討した。事後共犯とは犯行の終了後、犯人以外の者が何らかの形で参与することを指すが、秦律・漢律では犯行がなされたことを知りながら、何らかの形で参与した場合、正犯と同じ刑罰に処されるという原則が存在することが明らかになった。また、作為犯とは一定の身体的動作を行うことによってなされる犯罪、不作為犯とは一定の身体的動作を行わないことによってなされる犯罪を指すが、秦律・漢律では民衆にもさまざまな治安管理上の責任が負わされているため、不作為犯も大いに処罰の対象とされていたことを明らかにした。 この二年間の研究によって明らかになったことは、秦律・漢律は犯罪の一般予防を極端に重視する傾向にある、という点である。例えば、犯行が既遂に達しておらず、未遂・予備・陰謀の段階で終了した場合であっても、極めて重く処罰される。このように一般予防を極端に重視する傾向は、後世の唐律などと比べても際立ったものであるが、あるいは秦漢帝国という中国古代帝国の国家権力が、中国の長い歴史の中でもいかに強大であったかを反映しているのかもしれない。秦漢帝国の国家権力と社会・民衆との力関係については、特に我が国では戦前から研究がなされてきたが、それらの研究成果との関係が今後の課題となるであろう。
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