研究課題/領域番号 |
02J04606
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森田 将基 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ルイス酸 / η^3-アリル錯体 / パラジウム / 白金 |
研究概要 |
有機化学において遷移金属およびルイス酸それぞれがここに果たす役割は非常に大きい。しかしその両者を有効に組み合わせて新たな反応を構築している例はほとんどない。一方、重合反応においては遷移金属錯体触媒とルイス酸との組み合わせは最も一般的な触媒系として使用されているが、合成反応にこの触媒系を応用しようという試みはなされていなかった。これまでに、合成化学的に効率の良い結合形成反応が重合反応に応用されることがあってもその逆はなかったことに着目し、遷移金属錯体触媒とルイス酸という組み合わせを検討し研究計画の立案を行った。すなわち、重合反応において鍵中間体である有機金属化合物を実際に遷移金属錯体とルイス酸から合成、あるいは発生させる一般性の高い方法を確立しその構造、反応性を明らかにすることを目的としている。そしてこれらの研究により得られた知見をもとに遷移金属とルイス酸との組み合わせから生じる有機金属錯体を鍵中間体とする触媒的合成反応の構築を行う。 すでにη^2-エノンパラジウム錯体と種々の典型金属ルイス酸との反応から、η^3-1-メタロキシアリル錯体を合成、単離しており、これらの反応性も詳細に検討している。また、昨年度には、シリルトリフラートを用いることで、η^3-シロキシアリルパラジウム錯体が発生することを確認し、系中で発生したこの錯体をジシランで捕捉することによりジシランのエノンへの触媒的共役付加反応の構築に成功している。そこで平成15年度は、典型金属ルイス酸、ケイ素親電子剤といった金属ルイス酸から、ブレンステッド酸や炭素親電子剤へと展開し、新たな結果を得た。ブレンステッド酸としてトリフルオロメタンスルホン酸を用いて実験を行ったところ、η^3-1-ヒドロキシアリルパラジウムおよび白金錯体が合成、単離できた。η^3-1-ヒドロキシアリル構造を有する遷移金属錯体は、これまでに報告例がない。なお、この系に関する予備的な結果は既に平成14年度に得ていたが、今年度は、ヒドロキシアリル錯体の生成経路に関する知見を得たほか、ヒドロキシアリル白金錯体のβ-ケトアルキル錯体への異性化とその反応機構に関する考察を加えることができた。また、炭素親電子剤を用いた場合には、脱離基の性質によりカルボニル酸素への新電子付加によってη^3-1-アルコキシアリル錯体を与える場合と、酸化的付加によりアルキル錯体を与える場合とがあることを見いだした。なお、白金錯体を用いることによりエノン錯体-ルイス酸付加体に関するより詳しい知見が得られると考え、η^2-エノン白金錯体と典型金属ルイス酸との反応を行ったところ、パラジウムの場合と同様に白金のルイス酸付加体を得ることができ、NMRおよびX線構造解析の結果を詳しく検討することでさらなる知見を得ることができた。
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