研究課題/領域番号 |
02J04728
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木島 由晶 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | MLM / 販売員 / アムウェイ / 社会学 |
研究概要 |
ニューヨークでのフィールドワークをもとに、販売員の国際比較をおこなった。 1.組織構造の逆転 日米ともに、通説とは逆の組織構造を発見することができた。 日本ではMLMは俗にネットワーク・ビジネスとも呼ばれ、知人を勧誘することでグループを成長・拡大させてゆく。したがってその組織構造は官僚制的なヒエラルヒーではなく、ゆるやかな横のつながりを基調としたものであるとされる。けれども実態は大きく異なり、微視的にみれば販売員は「友だちの輪」によって結びついているが、巨視的にみればピラミッド型の階層構造のなかでインフォーマルに職務の分担がおこなわれている。 米国ではMLMはダイレクト・セリングと呼ばれ、直接、企業と消費者を取り結ぶ販売組織であると認知されている。代理店を通さない代わりに、販売組織の中では武道の段位制にも似た階級が設定されており、それに応じてバックマージンの給付率も変わる。だが、明確な階級が設定されていても、販売員の職務には反映されていない。上級クラスに権限は乏しく、販売員は各自の裁量に基づいた販売計画を実行している。 2.文化的要因の格差 米国の販売スタイルを踏襲した日本のMLMが異なる販売組織の形態をとるようになった背景には、地理的要因、歴史的要因などのさまざまな要因が絡みあっているが、最も重要なのは文化的要因と考えられる。元来MLMは、合理性を追求する米国の気風のなかで生まれた商法だったが、通常のビジネスとは異なる副業としての価値が認知されるにつれ、他に仕事をもつ人が自由におこなう余暇的側面を強めることになった。一方で、日本を中心とした諸外国では、高度経済成長期に流入することにより、旧来の職業的観念とは異なる外資系ビジネスとしての価値を獲得する。そのため筆者の類型でいえば、米国にはMLMに商売以上のものを求める<ディストリビューター>型が多く、日本には現世利益を追求する<ネットワーカー>型が多いということになる。
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