配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
中員環化合物の効率的合成法の開発を目的として、分子内の適当な位置に求核部位を有するブロモアレンを合成し、閉環反応を検討した。その結果、アルコール性溶媒中、触媒量のPd(0)存在下、NaORを作用させることで、環内に一つまたは二つのヘテロ原子を有する七及び八員環化合物を収率良く合成することに成功した。この時、酸素及び窒素求核部位を有するブロモアレンを用いて閉環反応を行うとcis-オレフィンを有する中員環化合物が選択的に得られた。一方、興味深いことに、炭素求核部位を有するブロモアレンを用いて閉環反応を行うとtrans-オレフィンを有する八員環化合物が選択的に得られることを明らかとした。これらの結果は、ブロモアレンを中員環合成に用いた初めての例であり,希釈条件を必要としない本反応は合成上極めて有用であると考えられる(J.Am.Chem.Soc.2004,126,8744)。 さらに報告者は、本閉環反応において、ブロモアレン部分がアリルジカチオン等価体として機能していることに着目し、ブロモアレンのタンデム型環化反応について詳細に検討を行った。その結果、分子内にスルファミド部位を有するブロモアレンを用いて閉環反応を行うと、ビシクロ[4.3.0]骨格を有する二環性スルファミド類が効率良く合成できることを見出した。スルファミド骨格を有する化合物には様々な生物活性を有しているものが多く、本反応は環状スルファミド類の新規合成法として非常に有用である。またこの時、環化反応はパラジウムの有無に関わらず進行し、ブロモアレンが、パラジウム触媒非存在下でもアリルジカチオン等価体として機能しうることも新たに見出した(Angew.Chem.,Int.Ed.2005,44,1513)。
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