研究課題/領域番号 |
02J05275
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
気象・海洋物理・陸水学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
坂井 亜規子 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 氷河縮小 / 融解 / 質量収支 / 水文 / 涵養 / 流動 / 消耗 / 同位体 / 熱収支 / 日射 / 顕熱 / 潜熱 / 再凍結 |
研究概要 |
本研究は中国乾燥域における氷河からの流出水量が、過去数千年の気候変動に応じてどう変動してきたかを明らかにするのが目的である。そのためには、まず現在の氷河の消耗・涵養・流動などの素過程を明らかにする必要があり、今年度融解期の4ヶ月を通して質量収支データと気象・水文を対象流域の七月一日氷河において観測し、昨年度の秋から続く1年分の氷河質量収支を得ることができた。観測データから氷河の流出を解析すると、氷河表面で融解した水量はおおよそ観測した流出量と合致し、氷河表面で融解した水は氷河内に貯水することなく氷河外へ流出していることがわかった。この結果氷河流出モデルにおいて、氷河の表面プロセスのみ考えれば氷河の流出は見積もれるということになる。 また、七月一日氷河は過去50年から氷河は縮小し続け、最近の20年では氷河の縮小速度が加速していることが測量から明らかになった。氷河の縮小の原因は一般的に1)氷河が薄くなったため流動が遅くなり、上流から氷の供給が少なくなった、2)降雪量が少なくなった、3)融解が増加した、以上の3つが考えられる。氷河の流動について解析したところ、上流から流れてくる氷の量は少しづつ少なくなっているが、氷河の付近の降水量と気温データ解析の結果、特に最近20年の気温の上昇が激しいために氷河の融解が増加していることが、最近の氷河縮小加速の主な原因であることを量的に明らかにした。 さらに研究対象氷河の近くで採取された氷コアから得られる降水量と気温のデータを使い、本研究の最終目標である氷河質量収支モデルからの流出量を過去数百年分復元することを試みた。計算の結果この地域の氷河は1750年から1850年代に拡大し、その後の氷河縮小によって氷河からの流出が増加していることがわかり、沙漠域の水源となる氷河からの流出変動を復元することができた。
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