研究課題/領域番号 |
02J07131
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
細田 満和子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 医療専門職 / 患者 / 病いの経験 / 健康と病いの社会学 / 医療社会学 / 主体の変容 / チーム医療 / 医療倫理 / 専門職論 / 病者 / 家族 / 医療従事者 / 医師 / 看護師 / コメディカル |
研究概要 |
本年度は、昨年度までの医療従事者や患者へのフィールドワークで得られたデータを基に、人が病むことと病んだ人を支えることについて、病む本人に焦点をあてつつ社会学的考察を試みた。その際、「チーム医療」や「病いの経験」といった従来からのテーマを引き継ぎ、病むということを当事者の視点からテーマ化することを試みた。その際、健康と病いの社会学において先駆的な研究のあるアメリカに赴き、最新の研究手法を会得すると共に当地の研究者と議論を重ねた。それらの成果は雑誌論文として発表する。 これまでのフィールドワークでは、40代から60代のいわゆる働き盛りにあると自他共に認識されている中年期というライフステージにおいて、脳卒中を発症し片麻痺や失語症などの障害を持つようになった人々に、病気になってからの経験を聞き取ってきた。それらをデータとして取り扱い、本年度の研究としては、人生の途中で障害を持つようになった、いわゆる中途障害者と呼ばれる人々が、その後の生を生き抜くという経験を、医療従事者や家族や同病者などの他者との相互行為(=「出会い」と概念化)による主体の変容という観点から描き出した。病いを得て、障害を持つようになることは、身体や生命を脅かす出来事というだけでなく、社会的地位や役割などその人の生活を成り立たしめるものや、その人がその人であると確信(=アイデンティティ)を失わせるようなものであり、本研究ではそれを「自明な世界の崩壊」と概念付けた。そして、自明性の崩壊した危機的な状況の後、いかなる世界を作り上げて行くかというプロセスを検証した。その際、病いや障害という突然身体に降りかかる危機的な状況を、当事者である主体の変容の契機と捉え、その状況の中での主体の立ち上がり方、さらにそこでの相互行為過程が個人としての主体だけでなく他者(社会)の変容へと接続される可能性を示唆した。
|