配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
本年度は,「治水・利水・環境を評価」できる水循環モデルを完成させた.本モデルは,昨年度までに構築した水循環モデルに農地(特に水田)の水利用を再現するタンクモデルを追加したものである.タンクモデルを農地モデルに採用した理由は,農地(特に水田)における人為的な水移動のモデル化に適しているためである.このモデルを多くの流域に適用して適用性を向上させることが今後の課題である.なお,タンクモデルのパラメータ決定法に関して検討を行った結果は多田・横尾・重村(2005)にまとめてあり,水循環モデルを用いた仮想流域を対象とした数値実験の結果は国際学術雑誌に現在投稿準備中である. 開発した水循環モデルの適用性を詳細に検討するための準備段階として次の課題に取り組んだ. A)実測データからわかる水文現象に関する知見収集 アメリカ,オーストラリア,日本の各流域における水文データを元に(1)流況曲線の描画,(2)流量データのスペクトル解析と統計的成分分離をなった.その結果,以下の水文学的知見を得た. ・流況曲線の形状は流域の気候条件に最も影響を受けている. ・近接した流域でも流況曲線の低水側は気候以外の条件によって異なる形状となる. ・同じ気候条件下でも流量の成分数は流域によって異なる可能性がある. ・日本の流出成分数はアメリカやオーストラリアの成分数よりも少ない可能性がある. B)流出現象のトレーサーとしての水質データの利用可能性に関する検討 足利工業大学にて過去5年に渡って計測している渡良瀬川流域の水質データの解析を行った.その結果,水温およびBODは季節変動する水質指標であるため,河川流量を成分分離した際の遅い中間流量あるいは基底流量のよいトレーサーになる可能性があることが分かった.水質データの解析結果については,長谷川・上岡・横尾・長尾(2005)にまとめた.
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