研究課題/領域番号 |
02J08196
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 成生 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 歴史学 / 西洋史学 / 西洋中世史 / 音楽史 / 聖歌隊 / ルネサンス / カンブレー大聖堂 / ポリフォニー / 教会史 / 西洋音楽史 / フランス史 |
研究概要 |
本研究は、北フランスのカンブレー大聖堂の聖歌隊を素材として取り上げ、音楽史上「ルネサンス」期と称される15、16世紀の西欧世界における、音楽家の社会的身分のあり方とその組織構造の解明を目的とするものである。 昨年度、私は特別研究員奨励費を使用して、上記の教会関連の史料が保存されているフランスのノール県立文書館ならびにカンブレー市立図書館で約一ヶ月間、調査を行った。本年度は、その際デジタル・カメラにて複製した史料の分析を行いつつ、そこで得られた成果を学術論文として発表することに専念した。 その結果、計三本の研究成果を得た(以下の記述は裏面の「11.研究発表」に基づく)。最初の論文は、「少年聖歌隊教師」というカンブレー大聖堂の音楽生活において重要な役割を担っていた職務について論じたものであり、在職した人物の活動や就任過程を検討することで、同教会の雇用戦略は15世紀末にひとつの転換を迎えることを明らかにした。二つ目は、研究史上カンブレー大聖堂との密接な関係が指摘されるローマ教皇庁の聖歌隊との人的交流を扱ったものである。そこでは、先行研究によってやや誇張されていた両者の関係に修正を加えつつ、この二つの機関を往来していた音楽家に関して類型化が行われ、前述の研究課題に対する寄与がなされている。そして最後の論文は、こうした研究を行う上での基本的な史料であるものの、それ自体としては看過されてきた聖歌隊の会計記録を財政史的側面より再検討し、聖歌隊の財務構造の変容を追ったものである。 前年度ならびに以上の成果から、私はカンブレー大聖堂の聖歌隊の組織構造と当時の音楽家一般の社会的身分に関して、従来の研究ににない新しい見解を提示しつつある。むろん、他の音楽機関の比較検討など、なお課題は多い。今回の特別研究員としての研究期間は本年度をもって終了するが、今後もこの課題に取り組んでゆくつもりである。
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