研究課題/領域番号 |
02J08467
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 幸久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 肺高血圧 / 肺動脈内皮細胞 / 低酸素 / NO / ウイルスベクター / デキサメタゾン / 肺高血圧症 |
研究概要 |
現在肺高血圧症を含む多くの血管病態に、ウイルスベクターを用いての遺伝子治療法が有効であると考えられ、基礎レベルでの研究が進んでいる。しかしその遺伝子導入効率の低さ、ベクター感染によって誘起される血管壁の炎症が問題となり、現在のところ血管病変に対する遺伝子治療は禁忌である。これらの背景を踏まえ、本年度は、血管内皮細胞をターゲットとした遺伝子導入法の改良について検討した。 ウサギ肺動脈組織培養標本を用い、アデノウイルス感染による血管内皮細胞機能障害機構の解析と遺伝子導入に対するDexamethasone (DEX)の作用を検討した。1.5×108-1.5×109 PFU/mlのβ-galactosidase adenovirus vector (β-gal-Ad)を肺動脈組織培養標本に感染させると、β-galは血管内皮細胞において濃度依存的に発現した。しかし、7.5×108 PFU/ml β-galAd感染により内皮依存性弛緩反応障害が観察され、形態観察において内皮細胞はアポトーシスを起こし、内弾性板より剥離していることが観察された。RT-PCRの結果これらの障害は内皮細胞内の炎症(IL-1β、TNFα、IFNα、VCAM-1、ICAM-1 mRNA発現上昇)を伴っていることが分かった。3μM DEXをβ-gal-Ad感染と同時、さらに感染後処置するとサイトカイン発現は抑制され、内皮細胞の形態と機能を維持したままβ-galの発現量は大幅に上昇することが分かった。また人単離血管内皮細胞さらにはラットを用いた個体レベルでの遺伝子導入実験においてもDEXの遺伝子導入率向上効果は確認された 以上の成績より、血管内皮細胞には細胞特異的に抗アデノウイルス感染機構が存在し、かつ遺伝子導入効率に抑制をかけていること、さらにDEXは感染による内皮障害を抑制し遺伝子導入効率を有意に上げることがわかった。これら本研究で得られた成果は、肺高血圧を含む様々な血管病態治療の展開だけでなく遺伝子導入効率の改善と言う点から、あらゆる血管基礎研究にも大きく寄与するものと思われる。
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