配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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研究概要 |
サブバンド間遷移における電子の多体効果及び緩和メカニズムの影響を明らかにするために,以下の研究を行った。 昨年度,井戸幅10ナノメートル(nm)クラスの狭いGaAs単一量子井戸におけるサブバンド間電子ラマン散乱(非弾性光散乱)を世界で初めて測定することに成功したが,そこに現れたピークの帰属を行うために,今年度はさらに井戸幅が8.5〜18nmの異なるGaAs単一量子井戸を作製してサブバンド間電子ラマン散乱を測定し,スペクトルの特徴の変化を調べた。その結果,電荷密度集団励起,スピン密度集団励起,及び一電子励起という3種類のサブバンド間励起ピークが現れる18nm量子井戸の状況から,井戸幅を狭くするにつれて電荷密度/スピン密度集団励起のピークが小さくなるという中間的な状況を経て,10nm以下の狭い量子井戸においては偏光依存性のない一電子励起ピークのみが現れていることが明らかになった。また,この狭い量子井戸において,共鳴条件を満たす範囲で入射光子エネルギーを変化させたところ,ラマンシフト及びラインシェイプの特徴的な変化が観測された。これは,電子ラマン散乱過程における面内運動量保存則の緩和を考慮することによって定性的に説明することができ,狭い量子井戸に特有の現象であることから,界面ラフネスによってもたらされていると考えるのが妥当である。 本研究成果については,Physical Review B誌における論文発表,及び日本物理学会2004年秋季大会におけるポスター発表を行った。
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