配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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研究概要 |
最終年度である本年度では,1.統合的最適化を高速化・安定化するための数値計算法の開発,2.エンジンと機体の一体設計および剛体特性を考慮した宇宙往還機の統合的最適化,の2つに取り組み,研究成果の総まとめを行った. 1に関しては,昨年度開発した最適化プログラムであるスパースSQPの高速化を行った.具体的には,統合的最適化問題で扱うヘッセ行列の特殊なスパース構造に着目し,2通りの新たなヘッセ行列更新法を開発した.従来の更新法との比較の結果,提案した更新法はいずれも従来の更新法より格段に速く収束することが確認された.この新しいスパースSQPプログラムと,昨年度開発した効率的なメタモデル(近似関数)作成プログラムを用いることによって,高速かつ安定な統合的最適化プログラムの枠組みを完成させることができ,本研究の目標の1つが達成された. 2に関しては,剛体特性として特に重要な縦のトリム能力と静安定性をモデル化し,最適化計算を行った.計算の結果から,静安定性とペイロード輸送能力の間には大きなトレードオフ関係があることを明らかにし,静安定性が設計においてクリティカルな要素であることを確認した.さらに,統合的最適化において,空気吸い込み式エンジンの推進性能と機体形状との相互依存関係のモデル化も行い,その最適解を求めた.最適解から,トリムや静安定性を制約条件として課すか否かによって,機体の形状が大きく変化し,推進性能とトリム・静安定性といった剛体特性との間に大きなトレードオフが存在することが確認された.これらの成果によって,従来の研究よりも精巧で現実的なモデル化のもとで最適解およびその知見を得るという,本研究のもう1つの目標も達成することができた.なお,これらの成果の一部を国際会議ICAS2004で発表し,学生セッションの最優秀論文賞であるICAS McCarthy Awardを受賞した.
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