研究課題/領域番号 |
02J08749
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
橋本 貴代 (馬場 貴代) 九州大学, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | Porphyromonas gingivalis / gingipains / 歯周病 / Porphyromona gingivalis |
研究概要 |
成人性歯周炎は、歯周組織の破壊を引き起こして、歯の動揺や喪失、咀嚼障害を生じさせる感染症であるが、近年、粥状動脈硬化症との関連性も示唆されている。原因菌としては、グラム陰性嫌気性細菌のPorphyromonas gingivalis (P. gingipain)が有力視されており、この菌によって産生されるシステインプロテアーゼ(Arg-gingipain ; RgpとLys-gingipain ; Kgp)が病態に深く関わっていると考えられている。 我々は、動脈硬化発症モデルマウス(Apolipoprotein E欠損マウス)を用いて、P. gingivalisの感染による脂質代謝への影響や動脈硬化病変の進行度、さらに、gingipainsと病態との関連について検討した。P. gingivalis感染による脂質代謝への影響を調べたところ、P. gingivalis感染群では、非感染群と比較して血清総コレステロール値において有意差が認められなかったが、血清high-density lipoprotein (HDL)コレステロール値は有意に減少し、血清low-density lipoprotein (LDL)コレステロール値は有意に増加した。また、P. gingivalis感染群については、心臓の組織切片のSudan IV染色像から非感染群に比べて動脈硬化病変部の増大が認められ、PCR法により心臓部にP. gingivalisを検出することができた。脂質代謝において各種受容体と結合することによってlipoproteinの代謝に関与しているapolipoprotein BはRgpやKgpによって分解された。次に、P. gingivalisのRgp・Kgp両酵素欠損株を感染させたところ、野生株の感染によって示された脂質代謝異常や心臓の動脈硬化病変の増大は認められなかった。また、RgpとKgpによるapolipoprotein Bの分解は、RgpとKgpの特異的阻害剤(KYTs)によって強力に阻害されることが分かった。これらのことから、P. gingivalisの全身感染により増悪した動脈硬化は、RgpやKgpを抑制することによって有効に予防・治療できる可能性が示唆された。
|