研究課題/領域番号 |
02J09718
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤原 裕弥 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 不安 / 注意バイアス / 顕在記憶バイアス / 潜在記憶バイアス / ワーキングメモリ / 記憶ネットワーク |
研究概要 |
本研究は、不安において認められる認知情報処理過程の歪みが引き起こされるメカニズムを検討することを目的とした。不安時には、周囲の脅威情報に対して選択的に注意を向ける注意バイアスや、想起意識を伴わず過去に体験した脅威情報が想起される潜在記憶バイアスは認められるが、想起意識を伴い脅威的出来事を想起する顕在記憶バイアスは認められにくいことが報告されている(認知バイアスの偏在性)。本研究で提案するモデルでは、注意処理に対して処理資源が配分され、顕在記憶処理に割かれる処理資源が不足するため、注意バイアスが認められ、顕在記憶バイアスが認められにくくなると想定した。 本年度は、注意バイアスの処理段階を特定するための実験と、注意バイアスと顕在記憶バイアスに必要とされる処理資源が競合するかどうかを検討する実験の2つを行った。注意バイアスの処理段階を特定するために行った実験の結果、反応時間の結果からも事象関連電位(ERP)の結果からも、不安時の注意バイアスが情報処理の初期に引き起こされる現象ではなく、比較的後期に引き起こされる現象であり、少なくとも呈示される刺激の内容を認識して初めて生じることがわかった。このことは注意バイアスが自動的な処理ではなく、その生起に処理資源を必要とする処理であることを示唆する結果であった。また注意バイアスと顕在記憶バイアスの処理資源が競合するかどうかを検討するために行った実験の結果、注意バイアス検討課題中に顕在記憶に多くの処理資源を必要とするような課題を行ったところ、注意バイアスが消失したことから、注意バイアスと顕在記憶バイアスの処理資源が競合することがわかった。 なおこれら研究成果は、2002年5月に開催された感情心理学会(於:宇都宮大学)、2002年9月に開催された日本心理学会のワークショップ(於:広島大学)、そして2002年11月に開催された行動療法学会(於:東京大学)等の諸学会で発表した。また学位請求論文の一部として、その内容を広島大学大学院生物圏科学研究科に提出した。
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