研究課題/領域番号 |
02J09723
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
下村 智子 広島大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | カナダ / 先住民 / アイデンティティ / カリキュラム / 教師教育制度 |
研究概要 |
本年度は、学校教育において「イヌイットらしさ」を教授・伝達する主体となるイヌイットの教師について、その教師教育に着目し、プログラムについて検討を進めるとともに、イヌイットの教師に求められる資質について考察した。 その結果、主に次の二点が新たな知見として得られた。 第一に、先住民コミュニティのニーズが反映される柔軟性を有している点である。プログラムの開発・設置は先住民側からの要請に基づいたもので、その実施においても、先住民の人材がインストラクターとして積極的に採用されていること、学生の応募・選考過程において各コミュニティの裁量が認められていることなど、コミュニティのニーズを反映させる柔軟な仕組みとなっている。第二に、先住民の教師に求められる知識・技能・態度は、非先住民のそれとは異なっているという点である。これは、一般的な教育学的・心理的内容の習得というよりは、先住民の教育的課題に関運した内容の習得が目指されており、さらにそれを実践的に応用することが目指されていることからも明らかである。 また、イヌイット科カリキュラムの基盤となっているIQ(Inuit Qaujimajatuqangit;イヌイットの文化の総体)についても検討をおこなった。その結果、IQを基盤としてイヌイットの文化や言語が反映された教育が展開されている背景として、「バサースト提言」における政策目標が強い影響を及ぼしていることが明らかになった。また、IQを基盤としながらも、ヌナブト準州民(Nunavummiut)のための教育を視野にいれた教育政策が検討されていることも明らかになった。 今後は、IQを基盤とする教育政策についてさらに具体的に明らかにしていくと同時に、「ヌナブト準州民」という視点からも教育政策の動向やその中身を検討していきたいと考えている。
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