研究課題
特別研究員奨励費
1、元素識別三次元原子イメージング技術の開発蛍光X線ホログラフィー(XFH)は、原子の三次元配列を直接的に決定できる手法であるが、原子番号の近い二つ以上の元素から構成される化合物を試料として用いた場合、再生像からその元素を識別できないという問題があった。昨年度、元素識別可能なXFH法として複素X線ホログラフィーを考案したが、今年度は、そのデモンストレーションを行った。実験はSPring-8のBL37XUで行い、試料にはGaAsの単結晶を使用した。CXH法で観測しなければならないシグナルの大きさは微弱であるが、CXH測定のために冷却システム、グラファイトアナラザーを備え、高精度化したホログラフィー装置を整備し、実験を行った結果、Ga原子周りのAs原子のみの原子の可視化に成功した。2、反復法を用いた原子像再生アルゴリズムの開発蛍光X線ホログラムから原子像の再構成を行うために、これまでバートンのアルゴリズムという一種の二次元のフーリエ変換の手法を用いてきた。しかしながら、実験的にホログラムは波数空間上の一部の領域しか測定できないために、バートンの方法によって導出される再生像には数学的な打ち切り誤差により、原子像の周りに必ずリップル状の振動が現れ、アーティファクトとなる。このアルゴリズムの問題が、XFH法による原子位置、原子占有率の定量評価実現のボトルネックとなっていた。松下らの反復法による原子像再生のアイディアをヒントにして、さらに原子像評価の定量性を向上させるために、大規模メモリを搭載した東北大学金研のスーパーコンピューティングシステムSR8000で実行可能な専用の反復法による原子像再生のプログラムを開発し、バートンの方法で出現するアーティファクトを激減させ、原子像の分解能を向上させることに成功した。
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Physical Review B 71(印刷中)
金属 74
ページ: 67-73