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東南アジア熱帯地域の水文・水資源特性と流域管理

研究課題

研究課題/領域番号 03041016
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関筑波大学

研究代表者

椎貝 博美  筑波大学, 構造工学系, 教授 (20016322)

研究分担者 TAWACHAI Tin  アジア工科大学, 土木学部, 教授
竹内 邦良  山梨大学, 工学部, 教授 (50016672)
ABDUL Rahim  マレーシア森林研究所, 水文研究室, 室長
太田 猛彦  東京大学, 農学部, 教授 (50134797)
KONG Fook La  マレーシア排水灌漑局, 水文部, 部長
虫明 功臣  東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50011060)
椎葉 充晴 (椎葉 充明)  京都大学, 工学部, 助教授 (90026352)
益倉 克成  建設省土木研究所, 水文研究室, 室長
SUVIT Vibuls  タイ王国研究評議会, 次長
村井 俊治  東京大学, 生産技術研究所(アジア工科大学 派遣職員), 教授 (10013179)
TAWACHAI Tingsanchari  FACULTY OF CIVIL ENGINEERING, ASIAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY
LAW Kong-Fook  DEPARTMENT OF IRRIGATION AND DRAINAGE, MALAYSIA
PRIDA Thima  アジア工科大学院(AIT), 非常勤講師
益倉 克茂  建設省土木研究所, 水文研究室, 室長
PRIDA THIMAK  アジア工科大学院, 地域開発センター, センター長
KONG FOOK LA  マレーシア排水灌漑局, 水文部, 次長
ABDUL RAHIM  森林研究所, 水文研究室(マレーシア), 室長
研究期間 (年度) 1991 – 1993
研究課題ステータス 完了 (1993年度)
配分額 *注記
24,000千円 (直接経費: 24,000千円)
1993年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1992年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1991年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
キーワードプライマリ- / 熱帯雨林 / 保水能力 / ボルネオ / フタバガキ / 流出 / ムル / ベラガ / 蒸発散 / 農業人口 / 水資源 / 貯水池 / IHP / マレ-シア / タイ / 水文学 / 流域変化 / 流出変化
研究概要

本年度は3年間にわたる国際学術研究の最終年度にあたり、これと関連して平成1年度、2年度におこなわれたタイを主たる目的地域とした調査を考えれば実に5年間にわたる調査となった。
マレーシアに関しては多くの降雨データが集積された。今年度はマレーシアの中枢部をなす、ジョホール州のデータの整理が筑波大学において行なわれた。降水量に関する観測地点のみでも、153箇所あり、降雨記録は1879年にさかのぼって存在する。これらのデータは誠に貴重なものであるが、そのほとんどが月単位のものである。
この月単位のデータは、マレーシアの土地利用状況の長期間にわたる変化や、地球温暖化の影響をしらべるためには不十分であるとされている。しかし、現実の問題として熱帯林地域で実際に入手できるデータは、特に19世紀のものを考慮に入れるときは、限られているのは当然のことであり、これを克服しなくてはならないものも又あたりまえのことである。
注目されることは、1979年頃より、降雨から流出にいたる時間が1月ほど遅れるように見られることであり、これは地球上の多くの地域で森林の現象によりこれと反対の現象、すなわち降雨から流出にいたる時間が次第に短くなっていくこと、が観測されていることである。
これは多分1970年代の終わりごろから、老化したゴム園が撤去され、オイルパームが新しく植えられはじめたことと関連するように思われるが、これを確認するためにはもう少しデータの分析を続ける必要がある。
本年度はまた、プライマリ-(いわゆる原生林と考えて誤りではない)を中心とする熱帯雨林の調査が行なわれた。もし将来インドネシア側からボルネオのプライマリ-の視察が行なわれればさらに多くの知見が得られるであろう。
ムル地区においてはプライマリ-が国立公園化され、そのため森林の伐採は行なわれていないが、先住民族の生活は一層苦しくなっている。つまり狩猟や立ち木の伐採が不可能になれば、先住民族は生活の手段を奪われるからである。一方、ベラガ地区においては、dipterocarps(いわゆる フタバガキ科の樹木)の伐採が大規模に行なわれ、そのかなりの部分が日本に輸出されている。この問題は各方面で指摘されていることであるが、日本の国際責任の在り方として考えるとき、重要な問題であるといわなくてはならない。なおこのフタバガキの実は羽をもっており、椎貝がこれについて流体力学考察を加えることができたのは多少の学問的貢献であると考える。
プライマリ-地区では少し降雨がとぎれると、深刻な渇水に襲われるようである。本年度のムル地区の調査においても、1週間ほどの無降雨によって、プライマリ-より流出する河川の水位は大幅に低下していた。ボルネオの川の多くは交通路をかねており、河川の水位が低下すれば、奥地にある小都市は唯一の交通手段を奪われ、深刻な事態を招くのである。この様子から見れば、プライマリ-の保水能力はそれほど高いとはいえないが、この確認のためにはもう少し多くのデータの解析を必要とする。
本年度は、別の費用で購入した雨滴計をクチン市に設置し、熱帯降雨の雨滴の大きさを観測した。現在までに得られたデータによれば、日本とマレーシアの雨滴の大きさにそれほどの差異はないようである。これについてもデータの詳しい分析が必要である。
この国際学術研究において、マレーシア政府の考え方も大きく変化した。最初は二桁ほど大きい予算があるのではないかと期待していたようであり、その期待は失望に変わった。3年目には、プロジェクトではない、学術調査の意味を十分に理解するようになり、マレーシア政府の中に急速に学術的な興味が生まれたのは驚くべきことであった。そのため、招へいにおいては、わが国の治水、利水事業を観察すると同時に、わが国の、官-学の協力体制に深い関心を示していた。それと同時に役務の提供もよりスムーズにおこなわれるようになった。従来日本-タイに比べて、日本-マレーシア間の工学分野における学術協力はやや出遅れていた感があり、今回の学術調査はその点でも大きな意義があったと考えられる。
終わりにこの3年間に渡り、大きな援助をたまわった文部省に深甚な謝意を表する。

報告書

(3件)
  • 1993 研究成果報告書概要
  • 1992 実績報告書
  • 1991 実績報告書
  • 研究成果

    (17件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (17件)

  • [文献書誌] 沖大幹、虫明功臣、増田功一: "大気水蒸気収束量と流域水収支との対応-チャオプラヤ川での事例解析" 水工学論文集. 35. 679-682 (1991)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 竹内邦良、海老沢聡、池本一志: "タイ国チャオプラヤ川流域での衛星による降雨量推定式の同定" 水文水資源学会誌. 5. 33-41 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 益倉克茂、吉谷純一、山邊満: "タイの降雨特性" 土木技術資料. 34-3. 55-60 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 椎貝博美: "熱帯モンスーン地帯の水管理-チャオプラヤ川の事例" 学術月報. 45-4. 353-398 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 椎貝博美: "飛行する植物-dipterocarpsの場合" ながれ(日本流体力学会誌). 12-4. 438-441 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 椎貝博美: "水資源" 技報堂, 140 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Oki,T., K.Musiake and K.Masuda: "Atmospheric water vapor flax and basin water balance- Case study in Chao Phraya River Basin, Thailand" Journal of hydraulic Research. 35. 679-682 (1991)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takeuchi, K.,S.Ebisawa and K.Ikemoto: "Precipitation index Estimated over Chao Phraya River Basin in Thailand" Journal of Japan Society of Hydrology and Water Resources. 5-3. 33-41 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Masukura, K.,Yoshitani, J. and M.Ymanaobe: "Precipitation characteristics of Thailand" Technical Bulletin of Civil Engineering. 34-3. 55-60 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Shi-igai,H.: "Water management of tropical monsoon area" Gakujutsu Geppo. 45-4. 55-60 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Shi-igai, H.: "On the flying plants- A case of dipterocarps" Journal of Japan Society of Fluid Mechanics. 12-4. 438-441 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] SHI-IGAI, HIROYOSHI: GIHODO. WATER RESOURCES, 1-140 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 沖 大幹: "Water balance using atmospheric data -A case study of Chao Phraya River Basin-" Proceedings of IAHS XXth General Assembly,Etended abstract of the poster paper.(1991)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 沖 大幹: "大気水蒸気収束量と流域水収支との対応-チャオプラヤ川での事例解析" 水工学論文集. 35. 679-682 (1991)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 竹内 邦良: "タイ国チャオプラヤ川流域での衛星による降雨量推定式の同定" 水文・水資源学学会誌. 5-3. 33-41 (1992)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 益倉 克茂: "タイの降雨特性" 土木技術資料. 34-3. 55-60 (1992)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 椎貝 博美: "熱帯モンスーン地帯の水管理-チャオプラヤ川の事例-" 学術月報. 45-4. 353-358 (1992)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書

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公開日: 1991-04-01   更新日: 2016-04-21  

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