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イスラム世界における都市空間構成に関する比較研究-庭園とモスクを中心にして-

研究課題

研究課題/領域番号 03041019
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関東京大学

研究代表者

羽田 正  東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (40183090)

研究分担者 小倉 泰  東京大学, 東洋文化研究所, 助手 (80214104)
林 佳世子  東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (30208615)
藤井 恵介  東京大学, 工学部, 助教授 (50156816)
横山 正  東京大学, 教養学部, 教授 (80012417)
三浦 徹  お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (00199952)
小牧 昌平  上智大学, 外国語学部, 専任講師 (30195838)
研究期間 (年度) 1991 – 1993
研究課題ステータス 完了 (1993年度)
配分額 *注記
16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1992年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1991年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
キーワードイスラム / モスク / 庭園 / メディナ / 宗教建築 / チュニジア / ス-ク / 都市 / イスラム都市 / イスラム建築 / イスラム庭園 / 街区 / マドラサ / 都市空間 / イスラム世界
研究概要

今年度の計画は、前年度までの調査実績を基に、メンバー各自の各々の専門のフィールドでの補充調査と、チュニジアでの総まとめの共同調査を組み合わせるというものだった。横山、藤井、林、小倉の4名は、この計画に従って行動したが、外交上の理由によって、羽田はイランでの調査を行うことができなかった。最後にイランでの補足調査が出来なかったことはまことに残念である。
しかし、隊員全員が揃ったチュニジアでの調査は、短期間ではあったが、最終年度にふさわしく充実したものだった。チュニジアでの調査地は、チュニス、カイラワーン、スファックス、ス-ス、マフディーヤ、モナスティールであった。現地滞在中の私市正年氏(上智大学アジア文化研究所)が全面的に調査に協力して下さり、より多くの成果を挙げることが出来た。共同調査の主要な成果を、以下で箇条書きで述べる。
1.チュニジア主要都市の都市プランの把握。とりわけ、主な宗教建築物(モスク、マドラサ、墓廟など)の都市内での位置と分布については、実際に現地を訪れ、確認した上で地図に書き込む作業を行った。その結果、文献上で知られていた位置と実際の位置が異なっていたものをいくつか発見した。また、モスクなどの公共建築の場合には、入り口の位置が重要だが、これも実地に確認することが出来た。
2.チュニス旧市街のス-クを集中的に歩き、その業種別配置、店舗の賃貸関係、経営者の出自などについて聞き取り調査を行った。その結果は、目下分析中である。
3.チュニス旧市街(メディナ)の住宅を訪問し、その構造と生活様式を具体的に把握することが出来た。伝統的な建築様式を踏襲しながらも、現代の生活に不自由のないように、巧みな改造が行われている。
4.従来必ずしも明らかとなっていないチュニスのザイトゥーナ・モスク、カイラワーンの大モスクの建造・修復過程を現場で建築史的に検討し、その変容の状況を具体的に知ることが出来た。また、北アフリカに特徴的なミナレットの様式の発展過程も、スファックスのモスクを調査することによって、明らかに出来た。
5.チュニジアには大規模な庭園の遺構は残されておらず、都市生活との関わりにおいて庭園が果たした役割は、イランなどの東方イスラム世界と比較すると、さほど大きくないことが確認された。
6.現地の研究者との意見交換のため、カイラワーンのイスラム研究センター、チュニス近郊、ザグワンのアラブ地中海研究所を訪問した。また、これらの研究機関に所蔵されている貴重な蔵書の調査を行った。
7.一般に北アフリカ(マグリブ)三国として、まとめて理解されるモロッコ、アルジェリア、チュニジアではあるが、一昨年のモロッコと今回のチュニジアでの調査を通じて、この三国をまとめて考察することの危険性が隊員の間で指摘された。モスクなどの宗教建築の建築様式を例にとると、とりわけ、モロッコとチュニジアの違いは際だっている。切妻で緑色の瓦を多用するモロッコに対して、チュニジアでは、平屋根で瓦を用いないものが多い。たまたま、19世紀以後フランスの植民地となったという共通の歴史を持つために、この三国は一つのグループとして理解されてきたが、今後は、もう少しきめの細かい調査、研究が必要であることが確認された。
3年間(予備調査も入れると4年間)の調査を通じて、地域的にも、学問領域的にも異なったフィールドを研究対象とする研究者が、共同で調査することの面白さと難しさを常に実感してきた。基本的には、お互いが感じたこと、理解したことを現場で、また一日の調査が終了した後の夜自由に述べあって議論を深め、帰国後の文献調査によって事実を確定するという方式で、調査研究を進めたが、思いこみや基礎知識の欠如による誤解や疑問が相互に指摘されることがしばしばあった。調査の場は、自分の専門領域にだけ閉じこもっていたら、決して気づかなかった着想、また専門外だからかえって思いつくような根本的な疑問などを相互に検討しあうよい機会となった。今回の調査で得られた資料の整理が一段落し、その分析にも目途がついたなら、宗教施設(モスク、マドラサ、墓廟など)と都市の関係に焦点を絞った新たな調査研究班を結成し、第二次調査を行いたいと考えている。

報告書

(3件)
  • 1993 研究成果報告書概要
  • 1992 実績報告書
  • 1991 実績報告書
  • 研究成果

    (42件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (42件)

  • [文献書誌] M.Haneda: "The Character of the Urbanization of Isfahan in the Later Half of the 17th Century" Pembroke Papers. 5(予定). (1994)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 藤井恵介: "醍醐寺の布薩と仏堂 平安初期の仏堂の変革をめぐって" 日本中世の社会と仏教. (予定). (1994)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] K.Hayashi: "Thevakif Institution in 16th-Century Istanbul:An Analysis of vakif Survey Register of 1546" The Memoir of the Research Department of the Toyo Bunko. 50. 93-113 (1993)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 小倉 泰: "王権と宗教施設:クメール王国とチョ-ラ朝の大寺院造営" 文明研究. 12. 67-74 (1994)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Y.Ogura: "Formation of the Talamana System:Iconometry of South Indian Sculpture" The Memoirs of the Institute of Oriental Culture. 124. 1-31 (1994)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 横山 正: "サブ・システムの保存" 建築雑誌. 108-8. 51-55 (1993)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 羽田 正: "モスクが語るイスラム史:建築と政治権力" 中央公論社, 256 (1994)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] M.Haneda & T.Miura(ed.): "Islamic UrbanStudies:Historical Review and Perspectives" Kegan Paul International Ltd., 380 (1994)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 横山 正: "都市と建築" 東京大学出版会, 220 (1993)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 藤井恵介: "日本建築のレトリック:組物を考える" INAX, 85 (1994)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] M.Haneda: "The Character of the Urbanization of Isfahan in the Later Half of the 17th Century" Pembroke Papers. 5. (1994)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] K.Fujii: "The Dana and Butsu-do of the Daigo-ji Temple : Remarks on the reform of Butsu-do in the early Heian period" in Society and Buddhism in the Medieval Japan. (1994)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] K.Hayashi: "Thevakif Institution in 16th-Century Istanbul : An Analysis of vakif Survey Register of 1546" The Memoir of the Research Department of the Toyo Bunko. 50. 93-113 (1993)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Y.Ogura: "Formation of the Talamana System : Iconometry of South Indian Sculpture" The Memoirs of the Institute of Oriental Culture. 124. 1-31 (1994)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Y.Ogura: "Kingship and religious establishment : Monumental Hindu Temples of the Khmer Kingdom and the Chola dynasty" Studies of the Civilizations. 12. 67-74 (1994)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] T.Yokoyama: "Preservance of Sub-systems" Journal of Architecture. 108-8. 51-55 (1993)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] M.Haneda: Cyuokoron. A History of Mosque : Architecture and Political Power, 256 (1994)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] M.Haneda & T.Miura (ed.): Kegan Paul International Ltd.Islamic Urban Studies : Historical Review and Perspectives, 380 (1994)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] T.Yokoyama: The University of Tokyo Press. City and Architecture, 220 (1993)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] K.Fujii: INAX. Kumimono : Rhetoric of Japanese Architecture, 85 (1994)

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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 羽田 正: "イラン・イスラーム都市の都城" 学術月報. 45-5. 59-65 (1992)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 羽田 正: "シャルダンの『ペルシア旅行記』とその価値" 岩波書店17・18世紀大旅行記叢書. 6. (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 林 佳世子: "ワクフ制度-イスラーム都市空間構成の原理-" 学術月報. 45-8. 62-68 (1992)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 林 佳世子: "The vakif institution in 16th century Istanbul:An analysis of vakif survey register of 1546" The Menroir of the Research Department of the Toyo Bunko. 50. (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 小倉 泰: "タミル・ナードゥにおける王権と寺院-王の神格化をめぐって-" 東洋文化研究所紀要. 118. 87-125 (1992)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 小倉 泰: "中世都市ヴィジャヤナガル-レイアウトとその解釈" 東洋文化. 72. 165-189 (1992)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 羽田 正・三浦 徹: "イスラム都市研究" 東京大学出版会, 363 (1991)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 藤井 恵介: "醍醐寺" 新潮社, 300 (1992)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 羽田 正: "1676年のイスファハ-ンー都市景観復元の試み" 東洋文化研究所紀要. 118. 183-235 (1992)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 羽田 正: "イラン・イスラ-ム世界の都城" 学術月報. 45. (1992)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 羽田 正: "モスク建築" 事典 イスラ-ムの都市性. (1992)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 横山 正: "デザインの状況ー1960年代以降" 岩波講座 現代芸術. 95-117 (1991)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 横山 正: "新しい視の枠組を求めてー1950年代の河原温" On Kawahaza 1952ー1956 Tokyo. 24-72 (1991)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 藤井 恵介: "景観と歴史的建築" A Vision of Tokyo. 3-8 (1991)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 藤井 恵介: "高野と比叡" 古代の日本ー近畿二. 6. 285-308 (1991)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 小牧 昌平: "シ-ラ-ズ" 事典 イスラ-ムの都市性. (1992)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 林 佳世子: "トルコ" イスラム都市研究ー歴史と展望. 163-216 (1991)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 林 佳世子: "16世紀イスタンブルの住宅ワクフ" 東洋文化研究所紀要. 118. 237-262 (1992)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 林 佳世子: "都市と聖者廟ートルコ" 事典 イスラ-ムの都市性. (1992)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 小倉 泰: "タミル・ナ-ドゥにおける王権と寺院ー王の神格化をめぐって" 東洋文化研究所紀要. 118. 95-133 (1992)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 小倉 泰: "都市と庭園ーインド" 事典 イスラ-ムの都市性. (1992)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 羽田 正: "イスラム都市研究ー歴史と展望" 東京大学出版会, (1991)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書

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公開日: 1991-04-01   更新日: 2016-04-21  

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