• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

東南アジアにおける社会・経済の発展段階に対応した森林利用様式の定式化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 03041021
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関東京大学

研究代表者

永田 信  東京大学, 農学部, 助教授 (20164436)

研究分担者 露木 聡  東京大学, 農学部, 助手 (90217381)
粟屋 善雄  森林総合研究所, 林業経営部・環境管理研究室, 研究員(研究職)
WIJAYANTO Nu  ボゴール農大, 林学部, 講師
井上 真  東京大学, 農学部, 助手 (10232555)
増田 美砂  筑波大学, 農林学系, 講師 (70192747)
TOMBOC Carlo  フィリピン環境天然資源省, 生態系研究開発局, 局長(研究職)
餅田 治之  森林総合研究所, 林業経営部・環境管理研究室, 研究室長(研究職)
加藤 隆  森林総合研究所, 林業経営部・経済分析研究室, 研究室長(研究職)
MAKARABHIROM パームサック  タイ王室森林局, 国有林地管理部, 調査官(研究職)
熊崎 実  筑波大学, 農林学系, 教授 (00215021)
MAKARABHIROM Pearmsak  Researcher RFD, Thailand
MAKARABHIROM パームサツク  タイ王室森林局, 国有林地管理部, 調査官
研究期間 (年度) 1991 – 1993
研究課題ステータス 完了 (1993年度)
配分額 *注記
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
1993年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1992年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1991年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
キーワード森林減少 / 移動耕作 / 社会林業 / 樹木植栽 / アグロフォレストリー / 請負再造林 / リモートセンシング / ランドサットTM / 森林利用 / 住民参加 / ユーカリ造林 / 焼畑農業 / 熱帯林消失 / ユ-カリ造林 / ティ-ク / ラタン / リモ-トセンシング / 熱帯林減少 / 焼畑
研究概要

昨年公表されたFAO(国連農業食料機構)の「1990年熱帯林資源調査」によれば、全世界で毎年1530万haの熱帯林が失われている。このうち熱帯アメリカで約半数に当たる740万ヘクタールが減少しており、世界規模の環境問題を考えるときに、アマゾンが取り上げられるのはこの面積の大きさによると考えられる。一方、アジア太平洋地域では全熱帯林の4分の1に当たる390万ヘクタールが減少しているに過ぎない。しかしながら森林減少率を森林面積に対する割合で計算すると、全世界では0.8%であるのに対し、東南アジア大陸部では1.8%、島嶼部でも1.4%と非常に速い。現地での環境と、燃料生産を含めて木材生産に大きな問題を起こしつつあることは明白である。
これに対し、先進国では森林面積が増大しているのが通例である。もっともこれらの国は以前に森林に覆われていたものが減少し、底を打ち現在の増大に転じているのである。同様に発展途上国にもこうした「底打ち点」を期待するものであるが、現況がどうであり、どのようにしていつ「底打ち点」を迎えることができるか考察することが我々の研究の原点となっている。
調査対象地の社会経済発展段階ついて先ず述べよう。フィリピンは、一人当たりの国民所得が1990年に730USドルになり、国連の分類によれば「中位所得」国になる。しかしながら、1965年から1990年までの経済成長率を一人当たり国民所得で計算すると1.3%に過ぎない。1970年代まではそれなりに成長を遂げていたことを考え合わせるなら、高度経済成長を続ける東南アジアに在っては「経済停滞」国と判断せざるを得ない。タイは、一人当たり国民所得は1420USドルで「中位所得」国であるが、4.4%の高い成長率を持つ。インドネシアは一人当たり国民所得は570USドルで「低位所得」国であるが、4.5%の高い成長率を持つ。
次に森林利用の態様であるが、まずフィリピンを見ると自然林が殆ど無くなっている。地域毎に経済水準と森林減少の関連を調べたが、ほとんど関係が見られなかった(永田)。こうした状況の中でアグロフォレストリーを技術的根拠とした社会林業政策が政府や民間企業によって行われている(餅田)。要点としては林野所有形態、市場、金融が挙げられる(加藤)。請負再造林政策では農業との労働時間、あるいは土地の競合が問題として挙げられる(葉山)。そのほか地元住民のための様々な開発政策が持続的な開発のために立てられ、森林生態系の回復が図られている(Tomboc)。
また、農業開発などにより、タイでも森林面積は急速に減少したが、経済成長に伴い木材需要が増大し、木材価格が上昇してきた。また土地の所有権を農民に与える政策とあいまって、また政府からの補助もあり、樹木植栽が進んできている(熊崎)。こうした背景の中で分収造林も進んできており、長期的な土地なし農民への分収、中長期の金融の必要性が指摘される(Makarabhirom)。
インドネシアではまだ森林が残されているが、おそらく1000年以上も環境と共存してきた移動耕作が変質し、森林減少がまさに進行している状況である(井上)。木材以外の林産特産物、たとえばラタン(増田)や黒檀(Wijayanto)などの生産も行われており、森林との共存が図られている。
われわれはこうした森林の変化、特にインドネシアに在っては、森林の減少の測定(粟屋)を、タイに在っては樹木植栽面積の測定(露木)を、それぞれランドサットTMデータを用いてリモートセンシングの手法で測定し、現地調査(ランドトゥル-ス)を行った。
こうした研究によって、「低位所得国」では森林が残されているものの、正に森林減少が進行している。また「中位所得国」では、森林が「底を打って」いることが確認された。しかしながら、どのように森林増加に結び付くかは、各々の国で異なっている。経済成長国では木材価格の上昇が要点であり、経済停滞国では様々な政策によりそれを実現しようと努力している。また森林が残されている国でも森林資源の充実のための政策が取られている。いづれにせよ現地住民の土地所有権を認めるような林野所有の形態が、森林資源造成に鍵になっていると言えよう。

報告書

(3件)
  • 1993 研究成果報告書概要
  • 1992 実績報告書
  • 1991 実績報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 井上 真: "森林保全策における森林居住者の位置づけ" 林業経済. 523. 1-11 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Inoue,Makoto: "A treatment of forest dwelling people in considering the conservation of the tropical forests" 45(5). 1-11 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 井上 真: "森林保全策における森林居住者の位置づけ" 林業経済. 523号. 1-11 (1992)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書

URL: 

公開日: 1991-04-01   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi