研究課題/領域番号 |
03041032
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
窪田 金次郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (00013805)
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研究分担者 |
GRILLO T.A.I オバフェミアヲロヲ大学, 医学部, 名誉教授
AJAYIーOBE S. 連邦厚生省, 歯科主任
OLUSILE オバフェミアヲロヲ大学, 医学部, 助手
HOLLIST N.O. オバフェミアヲロヲ大学, 医学部, 教授
大西 正俊 山梨医科大学, 医学部, 教授
水口 俊介 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (30219688)
大澤 孝一 明海大学, 歯学部, 助手
渡辺 久 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (40143606)
小野 芳明 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70134731)
米満 正美 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (80092451)
OLUSILE A. O. Lecturer, Obafemi Awolowo University, Faculty of Health Sciences, School of Dent
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1991年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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キーワード | ナイジェリア人 / 歯科疾患 / 追跡調査 / 齲蝕 / 歯周病 / 咬耗 / 顎関節X線検査 / 顎石膏印象採得 |
研究概要 |
調査隊は、ナイジェリアのイフI地区とその周辺住民についてProf.Hollist,Dr.Olusile,Dr.AjyaiーObe,Prof.Grillo,その他イフI大学歯学部スタッフの協力で、歯科疾患の疫学的追跡調査を行った。この調査は咀嚼システムの基礎的研究の一環であり、1980年の予備調査でスタ-トしてから1981年の本調査後、1986年に1回目の追跡調査を行い、今回、2回目の追跡調査が行われた。1981年の本調査以来追跡調査で実証されたイフI地区とその周辺住民における歯学的知的は次のようである。ナイジェリア人の子供は、歯垢、歯石沈着、歯肉炎が多く、口腔内の衛生状態は極めて悪いけれども、齲蝕罹患者率も齲蝕罹患歯率も低く、歯列の不正もなく、成人では、32本の歯には強い咬耗が見られた。今回の調査目的は、噛むことが咀嚼システムを構成している1)歯を含む末梢効果器系、2)効果器の感覚受容器から起こる感覚情報を脳に運び込む感覚入力系、3)効果器に咀嚼運動司令を送り出す中枢神経系などの生後の発達に影響するであろうという仮説を、ナイジェリア人の伝統的食生活を通じて検証することにあった。 調査被検者と方法: 本追跡調査は1991年10月28日から11月22日まで行われた。幼児学童は3、5、6、8、10、12歳の男女各30名づつ、それに5年前に調査された学童の追跡調査分を含めて1560名の小児と成人(14歳ー70歳まで)300名以上(農村部)が検診された。内訳は学童はイフI地区の農村部(アシパ、イヘIツモデ、モロ)で780名以上、都市部(イフI市内)で780名以上であった。成人では、歯の齲蝕、歯周疾患、歯及び歯列形態、咬合力、また歯の強い咬耗を伴って起こる顎関節の改造形態のX線関節撮影並びにデンタルX線検査が行われた。また、278名の上下顎の研究用顎模型が印象採得された。その他に130軒の家庭での食生活と育児並びに老人の実態が訪問調査された。19歳未満のX線被験者にはすべて両親の承諾書が提出された。 調査結果: 1.ナイジェリア人の子供の齲蝕については、都市部、農村部ともに10年前あるいは5年前と比べて齲蝕罹患者率は増加しておらず、成人でも口腔の清掃状態はよくないにも拘らず齲蝕は殆ど見られなかった。その詳細はコンピュ-タ入力のためマ-クシ-トを整理分析中。2.ナイジェリア人の歯、歯列弓及び顎顔面の形態の研究では、離乳後の食生活でよく噛んで食べると、咬合力の機械的刺激によって歯は咬耗し、顎の発育は促進させられるので、日本人と全く食文化の異なるナイジェリア人(学童、成人)の歯列弓、歯形態を精査し、頭部X線規格写真と照合しながら比較解析して、どのような相違が見られるかを検討する。278名の研究用顎模型をアルジネ-ト印象材で採得し、Hermanの歯齢で、IIa期89名,IIIa期44名,IVa期57名,Va期88名について犬歯間幅径、歯列長径、歯冠幅径を計測中。3.ナイジェリア人の食習慣に関する調査(窪田・大沢):130軒の家族の主婦に訪問してその食習慣と育児食、家族構成などを調査分析中。4.歯の咬耗に伴う顎関節頭形態の改造変形のX線写真像で解析中。5.顎顔面形態の頭部X線規格写真によって頭蓋の発達を咬合力測定結果とを対比させながら解析中。6.歯周疾患の実態調査とX線学的調査では、歯垢、歯石、歯肉炎の各項目とCPITNインデックスによる歯周疾患治療必要度を検索中。学童の口腔清掃状態は前回調査時より改善されておらず、歯垢、歯石沈着は著しく、歯肉炎は高頻度に見られたが歯周炎に移行しているものは極めて少なく、大部分が初期治療を必要とするものであった。永久歯列期の100名についてデンタルX線写真(10枚法)で検索中だが、歯槽骨吸収度には加齢的に増加する傾向が見られているが、歯周炎の発症率は強く抑制されている。子供では、過去10年間、齪蝕罹患者率は殆ど増えていない。その原因が何処に在るのか、その究明が将来必要である。
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