研究課題/領域番号 |
03041060
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
岡市 友利 香川大学, 学長 (90035965)
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研究分担者 |
GONZALES C.L フィリピン水産庁, 主任研究員
CORRALES R.A フィリピン大学, 海洋研究所, 準教授
GOMEZ E.D フィリピン大学, 海洋研究所, 教授
松岡 数充 長崎大学, 教養部, 教授 (00047416)
石丸 隆 東京水産大学, 助教授 (90114371)
福代 康夫 東京大学, 農学部, 助教授 (10165318)
緒方 武比古 北里大学, 水産学部, 助教授 (00104521)
児玉 正昭 北里大学, 水産学部, 教授 (40050588)
多田 邦尚 香川大学, 農学部, 助手 (80207042)
越智 正 香川大学, 農学部, 助教授 (00035990)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1991年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 赤潮 / 富栄養化 / Pyrodinium bahamense / 麻痺性貝毒 / マシンロック湾 / マニラ湾 |
研究概要 |
平成2年度はフィリピン、ルソン島のマシンロック湾及びマニラ湾西部で海洋環境調査とともに有毒プランクトンPyrodiーnium bahamennse var.compressaの分布と貝類の毒化状況を調査した。 平成3年度についても平成2年度と同じように麻痺性性貝毒の著しいフィリピン、ルソン島において有毒プランクトン発生海域の環境調査、プランクトン及びそのシストの分布、貝類の毒化状況を調査した。また、タイ産の夜光虫に共生するPedinomonas noctilucaeの分離培養をおこないその生理特性に関する実験を継続した。当初、フィリピンにおける調査を7月に予定していたが、ピナツボ山の噴火による交通機関の遮断により変更を余儀なくされ、2月11日〜25日に実施した。2月12日〜15日の間にはBFAR(Bureau of Fisheries and Aquatic Resourses),DOH(Department of Health),ICLARM(International Center for Living Aquatic Resourses Manegement),MSIUP(Marine Science Institute,University of the Philippines)を訪問し情報交換と調査にたいする協力を依願した。2月17日〜19日に、マシンロック湾に設けた4調査点で採水採泥を行うとともに、1定点にセジメントトラップを設置して海中沈降物の補集を行った。また、湾内での毒性試験及び毒成分の分離・化学構造解析用に多種類の貝を採取した。2月19、20日にはマニラ湾西部に位置するリマイ沿岸においてもマシンロック湾と同様の調査観測を実施した。 マシンロック湾の水温は27.1-28.8℃にあり、塩分は33.4-35.4%であったが、湾央部の中層ないし底層でやや低塩分で高濃度のシリカ(SiO_2 0.56mg/1)を含む海水が検出された。調査日前及び当日は晴天で河川水量も多くなったので、今のところその水の由来は不明であるが、プランクトンの増殖になんらかの影響を与えている可能性が高い。全懸濁物濃度は1.2-4.7mg/1、全植物色素濃度1.1-5.7μg/1が検出されることから富栄養化が進行していることが推察された。また全沈降粒子束は1.73g/m^2/dayで懸濁物が多い割には低い値を示した。有毒プランクトンP.bahamense var.compressumは1991年4月から6月かけて赤潮を形成し、最高189,000cells/1に達していた。しかし8月には火山灰の影響があったのか消失した。12月に再発し、今回の調査時点でも最高29,000cells/1が計数された。 マニラ湾の水温はやや低く25.2ー27.9℃、塩分は濃度差が大きく27.7-33.7%であった。この海域はマニラ市の都市排水、産業排水の影響下にあり、また東部のデルタ地帯からの流入淡水の影響を大きく受け著しく富栄養化している。全懸濁物濃度は0.45-8.26mg/1、全植物色素濃度は1.0-9.5μg/1であった。全沈降粒子束は3.61g/m^2/dayが観測され、マシンロック湾の2.1倍となった。P.bahamense var.compressumは1991年6月に赤潮を形成し、7,550,000cells/1が計数されている。2月には最高1.360cell/1しか検出されなかった。 これらの他、両海域で採取した柱状堆積物について渦鞭毛藻類のシストの分布、有機炭素、有機窒素、全リンの化学分析を行っているところである。採集された貝類については毒性試験、毒の分離を行う。また、昨年度はP.bahamense var.compressumの維持継続培養が数カ月で終わってしまったので、今年度、再追試を行っている。 更に今後も継続してトラップによりシストを補集し、それを日本に送る約束がBFAR研究者との間で約束されている。 以上のように調査が遅れたために分析が終わっていないものもあり十分な考察ができないが、2か年の調査によりフィリピンの富栄養化の現状、有毒プランクトンの分布と貝類の毒化の実態がほぼ解明されるものと考えられる。現地の研究者にたいして有毒プランクトンのモニタリング及び毒性試験の方法について教授できたことも大きな成果である。今後早急にこれらを取りまとめた報告書を作成し、東南アジア海域における赤潮及び貝毒調査のためのマニュアル作成の資料としたい。
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