研究課題/領域番号 |
03041062
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
一宮 仁 九州大学, 医学部, 助手 (10183170)
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研究分担者 |
夏 亮方 貴州医学院, 教授
徐 徳征 新彊医学院, 教授
朱 予 協和医科大学, 教授
沈 魁 中国医科大学, 教授
住吉 金次郎 九州大学, 医学部, 助手 (40206595)
中山 文夫 九州大学, 医学部, 名誉教授 (70038652)
SHEN Kui China Medical College Professor
ZHU Yu Union Medical College Professor
XIA Liomg Fang Gui zhou Medical College Professor
XU De Zheng Xin jiang Medical College Professor
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1991年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 胆石症 / 肝内結石 / 肝内結石症 / 頻度 / 病態 / 中国人 / 胆菅狭窄 |
研究概要 |
肝内結石症は治療が極めて困難で再発を繰り返し、また高率に肝内胆管癌を合併する難治疾患の一つであるが、その成因、治療、予防に関する研究は極めて立遅れている。肝内結石症は我国を含めて東アジアに多く、特に中国は本症の頻発国の一つである。 東教室においては昭和55年及び56年度より東アジアにおける肝内結石症の疫学調査を開始し(課題番号504152、56043046)、東南アジアにおける中国系住民間に肝内結石症頻度に多大の差があり台湾でもっとも高くシンガポ-ルで最低でかつ軽度の症例が多いという事実を見いだした。このような事実より肝内結石症の成因においては環境因子が占める役割が大であると考えられた。従って昭和58年59年60年61年度(課題番号58041053、59043048、61041061、62043057)に中国各地における肝内結石症の頻度及び病態を調査し、今回はその後5年間を経過したため前回対象例のその後の追跡調査を行い胆管形態の変化などの病態の変遷を追跡すると同時に新しい症例の集積を行った。すなわち昭和58年から61年にかけて収集した肝内結石症101例(中国医科大学61例、北京協和医科大学40例)につきアンケ-ト調査を主体として前回調査後の経過の把握に務めた。 その結果、肝内結石症の全胆石症に対する頻度は沈阻などの地方都市で高く北京などの都市化が進んだ地域では低かった。性比は男女大体同数であった。年令当たり頻度には顕著な差があり沈阻などの地方都市では20才代、北京などの都市部は40才代にピ-クが存在していた。病態でも極めて大きな差があり地方都市では肝内外胆管に結石が存在する症例が90%を占めていたが、都市部では75%に留まっていた。肝内結石症において肝外胆管に存在する結石の多くは肝内胆管より落下したものと考えられ、従って地方都市では進行した肝内結石症が多いものと解される。左右肝葉別結石分布は地方では両葉に結石が存在する場合が多いのに反し都市部では左葉に限局するものがかなり存在し、我国における肝内結石症の場合と近かった。肝内胆管狭窄の頻度及び存在部位では両者に大差は認められなかったが、肝内胆管狭窄が存在する事が多かった。すなわち中国各地ではその間に肝内結石症の病態の差が認められ北部地域(沈阻)及び都会(北京)では肝内結石症の頻度は比較的低くかつ高度進行例は少なかったが、南部地域(重慶)では頻度が極めて高くかつ高度進行例が多く、昭和55年56年に調査を行った東南アジアにおける肝内結石症の疫学調査研究の際の台湾のそれと類似していた。かくの如く地方都市では肝内結石症の頻度が高くかつ進行した例が多いがこの事実は肝内結石発生における環境因子の重要性を示唆している。 [新彊地区における胆石症の特徴] 新彊地区は多民族混住地域として知られ全人口の60%を13のいわゆる小数民族がしめその内訳はウイグル族、カザフ族が大部分を占めるもののその他回族、キルギス族、タジク族、ウズベク族、シボ族、タタ-ル族、満族、ダフ-ル族、ロシア族、サラ-ル族、ツ族、ドンシヤン族などが居住する。今回はその首都ウルムチの新彊医学附属医院において調査を行ったところ、入院患者はウイグル族と漢族がそれぞれ50%と40%を占め、残りの10%がカザフ族、回族、シベ族、蒙古族であった。胆石症は胆嚢結石が大部分を占め80%はコレステロ-ル石であった。肝内結石症は極めて少なく全胆石症の1%を占めるのみであったが、これは実際の頻度が低いのみならず診断法が不十分なためとも考えられ今後の検討を要する。
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