研究課題/領域番号 |
03041069
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
八尾 昭 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (40047353)
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研究分担者 |
王 新平 北京大学, 地質学系, 副教授
安 太庠 北京大学, 地質学系, 教授
江崎 洋一 大阪市立大学, 理学部, 助手 (60221115)
前島 渉 大阪市立大学, 理学部, 講師 (20173700)
AN Taixiang Professor, Institute of Geoscience, Pecking University
WANG Xinping Associate Professor, Institute of Geoscience, Peking University
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1991年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 揚子地塊 / ペルム系ートリアス系 / 環境変遷 / 古生代型生物群 / 大量絶滅 / 古生物学 / 堆積相解析 |
研究概要 |
本研究は、揚子(華南)地塊のペルム系ートリアス系及びそれより産する海生生物群化石を研究対象として、当時の環境変遷とペルム紀末期に生じた古生代型生物群の大量絶滅様式の解明を主目的としたものである。揚子地塊ではペルム系とトリアス系が世界に唯一整合的に累重し、大型化石を産する石灰岩相・砕屑岩相だけでなく微化石を産する珪質岩相も発達する。本研究では大型化石(サンゴなど)及び微化石(放散虫、コノドント、紡錘虫など)の層位分布を連続層序断面において検討し、さらに各化石群の古生物学的研究を加えてその地史的変遷様式を明らかにすることを目指した。また、ペルム系ートリアス系を構成する砕屑性堆積物の堆積相解析を行い、その堆積様式・堆積場の変遷過程を明らかにしようとした。以下に現地調査の経過及びそこから得られた成果の概略を報告する。なお現地で採集した岩石試料の日本への輸送は、中国における手続きの関係上、大幅に遅れた。そのため日本での室内研究はまだ十分に行われていない。 揚子地塊は、地質学的に北西部の揚子卓状地と南東部のカタイシア褶曲帯に2分される。今回現地調査を行った貴州西部及び広西中・西部地域は、揚子卓状地に位置する。両地域のペルム系は主として石灰岩相が卓越するが、砕屑岩相及び珪質岩相がはさまれる。トリアス系は砕屑岩相・石灰岩相で構成される。現地調査は主としてペルム系ートリアス系の連続層序断面が露出する下記の12地点(貴州西部(1)〜(7)、広西中・西部(2)〜(12))で行った。それぞれの地点の位置、層序、層厚などを以下に略記する。なお、地層の記号及び地質年代は、(A)栖霞層[P_2^1]、(B)孤峯層・(C)茅口層[P_2^2]、(D)呉家坪層・(E)龍家坪層・(F)合山層[P_3^1]、(G)長興層・(H)大隆層[P_3^2]、(I)大治層・(J)夜郎層・(K)羅楼層[T_1^1]である。 (1)轎子山(安順北方17km)、GーHーI、20m、(2)冒沙井(紫雲南方34km)、DーGーI、400m、(3)晒瓦(紫雲南方18km)、P_3、1100m、(4)太慈橋(貴〓)、EーGーHーI、240m、(5)都拉管(貴〓)、CーEーGーIーJ、40m+、(6)断杉(貴〓南方85km)、DーGーIーK、220m、(7)納水(羅甸南西方40km)、D_3ーT_1、(8)通天岩(柳州南方20km)、AーB、40m+、(9)牛〓坪(柳州北東方10km)、FーH、200m+、(10)霊塘(平果東北東方20km)、D_3ーT_1、450m+、(11)太平(平果西北方20km)、AーCーFーK、70m+、(12)果化龍久(平果西方20km)、FーT_1、50m+。 以上の12地点の層序断面において、柱状図を作成するとともに岩相・化石相の変化を観察し、適宜、岩石試料(化石、堆積構造解析用)を採集した。野外調査から明らかになった諸点を以下に列記する。 1.岩相:上部ペルム系は、石灰岩相、砕屑岩・再堆積石灰岩相、砕屑岩・珪質岩相の3相に区分される。それぞれ台地、斜面、盆地の堆積相に相当する。石灰岩相は主として礁性石灰岩で構成され、多くの化石(紡錘虫、サンゴ、海綿など)が含まれる。再堆積石灰岩相は主として石灰岩礫岩・石灰岩タ-ビダイトからなる。砕屑岩相は顕著に成層した砂岩泥岩互層からなる。最上部ペルム系はその上位のトリアス系砕屑岩相へと整合的に移化する。 2.堆積相:龍潭相にはデルタ成の上方粗粒化シ-クエンスがみられる。また龍潭層には潮汐低地の堆積物も含まれる。石灰岩タ-ビダイト相は、一部で上方薄層化堆積サイクルを示す。下部トリアス系の砕屑岩相にはハンモッキ-斜層理が発達し浅海成堆積物とみなされる。 3.化石相:四射サンゴ化石は上部ペルム系石灰岩相の呉家坪層や長興層に散見され、栖霞層・茅石層からは比較的よく産出するが、砕屑岩相・珪質岩相にはほとんど含まれない。四射サンゴ化石の産出種類は地域性や岩相によって異なる。地域によっては海綿化石が多量に含まれる場合や鳥の目状石灰岩が発達する場合(最上部ペルム系石灰系)などがある。放散虫化石は珪質岩相の大隆層に多量に含まれる。
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