研究分担者 |
張 厚義 中国社会科学院, 社会学研究所, 教授
陸 学芸 中国社会科学院, 社会学研究所, 教授
木下 英司 早稲田大学, 人間総合研究センター, 客員研究員 (10214842)
中村 則弘 帶広蓄産大学, 教養部, 助教授 (10192676)
吉沢 四郎 中央大学, 商学部, 教授 (90055088)
柿崎 京一 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (00041799)
徐 安〓 上海社会科学院, 社会学研究所, 講師
丁 水木 上海社会科学院, 社会学研究所, 助教授
池岡 義孝 早稲田大学, 人間科学部, 助教授 (90151274)
根橋 正一 流通経済大学, 社会学部, 助教授 (50164661)
安原 茂 成蹊大学, 法学部, 教授 (70054286)
LU Xue-yi Institute of Sociology, China Academy of Social Sciences, Reserch Prof.
XU An-qi Institute of Sociology, Shanghai Academy of Social Science, Associate Reserch Fe
DING Shu-mu Institute of Sociology, Shanghai Academy of Social Science, Associate Research P
ZHANG Hou-yi Institute of Sociology, China Academy of Social Sciences, Reserch Prof.
徐 安き 上海社会科学院, 社会学研究所, 講師
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研究概要 |
本研究は,現代中国の都市・農村の社会変動に関する実証的研究であり,上海市(都市)と山東省〓〓市(農村)を対象として,1991年から93年度までの3か年にわたり、現地調査を中心に行ったものである。 1 都市班,上海市の住宅地の4地域(古くからの住宅地である静安区〔山の手風〕と閘北区〔下町風〕,1950年代に建設の楊北区と1980年代後半に建設された黄浦区の2新村)を選定し,調査研究を実施した。調査内容は (1)4地域の20歳以上の男女200名,計800名を抽出し面接聴取によるアンケート調査(有効回収票637票,回収率79.6%) (2)上記800名の中から性・年齢・世帶構成別の指標にもとづき,90人を抽出し,研究員による面接聴取のケーススタディを行った。 (3)4地域の関係する区の居民委員会の中から,40居民委員会を抽出し,アンケート調査を実施,さらにそのうちの8居民委員会を対象としてインテンシィブな面接聴取及び資料集収作業を行う (4)さらに居民委員会を統轄する上級機関である街導弁亊処・区人民政府・上海市政府を対象とした聴取調査及び資料の集収 以上,3か年間のうちに集収した各種資料のうち,(1)の居民調査637票については電算機処理によるデータ処理を終え,目下解析作業中である。以下,主として居民委員会を対象とした考察結果について概要を述べることにする。 (1)居民委員会の性格や機構上の位置をより明らかにするため,聴取や文献等によりこの委員会の成立過程,法制上の規定,行政組織や社区工作との関係,さらに共産党との関係から再検討を加えた。 (2)居民委員会の住民サービス機能(便民服務)に焦点をしぼり,40居民委員会を対象に,13項目のサービスについて調査した結果をみると,居住地域の社会環境のほかに,現代中国都市の社会変動にあって,住民の生活様式や生活要求等における変化が単的にこのサービス機能に反映していることが注目された。その二,三の例を挙げてみると,現在,総じてサービス機能のもっとも充実しているのは最新の黄浦区であり,古住宅地かつ「山の手風」の静安区においてもっとも低調である。又4地区を通じて最も活溌だったのは公用電話サービス,逆に最低のものは食堂・廃品回収・修配・洗濯站や縫刃であった。今後サービスの拡充の予想される分野としては小百袋店,反対に減退の予想されるものとして発乳・修配・洗濯站・食堂・廃品回収などがみられる。 2農村班,山東省〓〓市域に含まれる2か村(伝統的社会を基礎としてゆるやかに村営企業を発展させている山間部のF村と,都市近郊の村営企業を大規模かつ急速に発展させているM村)を選定し,調査を行った。主な調査内容は (1)2か村の農家(戸主)を対象とした世帶表による面接聴取調査(F村悉皆調査・有効表156戸,M村では5つの近隣組の中の1つの組(80戸)を抽出し,悉皆調査・有効回収表80戸) (2)村内の古老や干部を対象に,村の開発の歴史をはじめ戸数・土地管理や生産・生活組織等の変遷に関する面接聴取調査 (3)村営企業及び労働者に関する調査 (4)村民委員会・党支部の組織と運営・財政,指導者の諸属性等に関する調査 (5)村民委員会の上級機関・ある郷・花図管理区・城区,さらには〓〓市政府を対象とした聴取調査及び関係資料の集収作業 この両村の比較分析を通して,村営企業を中核とする農村の変動の実態の特徴,及び変動要因ならびに派生する社会的問題について明らかにしつつある。現時点で得られた知見についてあげると,まず,両村のきわだった差異には, (1)人民公社解体後の土地管理において,F村では共同組織,M村では個別分割方式を採用した結果,F村の方が村の統合性が強い (2)村営企業の資本が,農業生産力の向上による共同蓄積(公積金)のF村に対し,都市機能の膨張に伴う農地の潰廃,それに伴う土地代金収入によるM村 (3)人民公社時代から農業関連の社会資本の形成に指導力を発揮してきた,いわば農民的リーダーが中心のF村に対して,村営企業の端備と同時に頭角を現わした企業経営能力を有する非農民的リーダーのM村。以上の3点が両村の社会変動を大きく左右している。
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