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インド共和国サヘ-ト・マヘ-ト遺跡の研究

研究課題

研究課題/領域番号 03041082
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関関西大学

研究代表者

網干 善教  関西大学, 文学部, 教授 (90067463)

研究分担者 貝柄 徹  関西外国語大学, 外国語学部, 専任講師 (10221863)
古川 雅英  科学技術庁, 放射線医学総合研究所, 技官
米田 文孝  関西大学, 文学部, 非常勤講師 (00298837)
橋本 征治  関西大学, 文学部, 教授 (50067633)
山岡 泰造  関西大学, 文学部, 教授 (50067576)
丹治 昭義  関西大学, 文学部, 教授 (00067555)
薗田 香融  関西大学, 文学部, 教授 (40067492)
研究期間 (年度) 1991 – 1993
研究課題ステータス 完了 (1993年度)
配分額 *注記
17,000千円 (直接経費: 17,000千円)
1993年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1992年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1991年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
キーワードマヘ-ト遺跡(舎衛城址) / サヘ-ト遺跡(祇園精舎址) / 黒縁赤色土器 / 黒縁スリップがけ土器 / 北方黒色磨研土器 / 十六国時代 / マウリヤ朝 / マヘート(舎衛城)遺跡 / インド政府考古局(A.S.I.) / 北方黒色磨研土器(N.B.P.) / 灰色彩文土器(P.G.W.) / マヘ-ト(舎衛城)遺跡 / インド政府考古局 / 「太陽の池」地点
研究概要

1991〜93年度にわたる今次のマヘ-ト遺跡(舎衛城址)における調査は、1987〜89年にかけてインド考古局と関西大学の共同で行ったサヘ-ト遺跡(祇園精舎址)での発掘調査の成果を受けて、両者が考古学的にどのような関係にあるのかを追求する目的で実施した。すなわち、両遺跡ともに仏陀の時代、すなわち紀元前6、5世紀に原始仏教教団と密接にかかわっていたことは仏典などの文献記録に語られるところであり、それらを生み出した当時の社会の物質的側面を検討することに主目的を設定した。
調査は第1年度(1991年度)に遺跡内の踏査と発掘区の設定および次年度以降の本格的な発掘調査に備えての地形測量図の作成を行い、第2年度(1992年度)・第3年度(1993年度)に発掘調査を進めた。既往の調査成果を考慮して、調査区は未調査であった遺跡の北半部に設定し、その中でも良好な資料の遺存が期待されたス-ラジ・クンド(太陽の池)と呼ばれる直径約30mの円形の池の周囲に顕著な遺丘が集中する地域を発掘区に選択した。
第2年度以降の発掘調査では、初年度に作成した測量図に基づいて発掘グリッドを設定して発掘調査を進めた。その結果、西暦1世紀以降の煉瓦積建物のほか、少なくとも紀元前8、7世紀に遡り得る時期の炉や土壙などの遺構を検出した。考古学的には黒縁赤色土器・黒色スリップがけ土器・北方黒色磨研土器といった精製土器によって特徴づけられ、歴史学的には仏陀が活躍した時期も含めた前6〜4世紀の十六国時代、前3世紀のマウリヤ朝の時代を包括する。
数多くの成果が得られたが、主なものをまとめておくと、第1に北方黒色磨研土器の出土によって、仏陀が在世していた時期にはすでに人々が恒常的に居住しており、むしろそれがマヘ-ト遺跡の中心年代であったことが判明したこと、第2に遺構の点で、その時期には焼成煉瓦の使用が本格化しておらず、柱穴の検出によって木造構築物がその中心であったこと、第3に、マヘ-ト遺跡では明らかに仏教とのかかわりを示す資料は出土しなかったものの、原始仏教の時代と紀元後の仏教が発展した時期では遺物組成に大きな相違がみられたこと、などを挙げることができる。
サヘ-ト遺跡で検出し得た遺構・遺物は紀元後の時期に中心を置くものであり、その僧院は多量の煉瓦を使用して築かれたもので、汎北インド的に定型化した形態を持つ。それに比較して、マヘ-ト遺跡で検出された遺構は、もちろんそれが仏教に関わるものである証拠は得られていないものの、木造を中心としていた可能性が高く、サヘ-ト遺跡の盛期の景観とは異なったものであったと想定できる。今の段階ではこれより進んだことを断言することはできないが、仏教を支えた物質的基盤には大きな差違があったことは想像に難くない。
当該時期の文献学的研究の成果を考慮に入れると、マヘ-ト遺跡の中心時期であった前6〜3世紀という時期は、仏教教団の成立はもとより、都市の出現から国家の形成へといたる非常に大きな社会変革のうねりを経験した時期であった。こうした変革は当然のことながら社会の物質的側面としての考古学的資料にも反映されているはずであり、3ヶ年にわたるマヘ-ト遺跡の発掘調査で得られた成果と既往の他地域での調査成果を勘案すると、考古学的にも1つの大きな変化が看取できる。こうした問題は南アジア全体を内包する非常に大きな問題であるが、その解明に対して当時すでに都市として繁栄していたマヘ-ト遺跡が提供しうる潜在的可能性は非常に高い。したがって、この遺跡における本格的調査の継続が望まれる。

報告書

(3件)
  • 1993 研究成果報告書概要
  • 1992 実績報告書
  • 1991 実績報告書
  • 研究成果

    (23件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (23件)

  • [文献書誌] 網干 善教: "佛典にみる祇園精舎創建縁起について" 『祇園精舎』. 415-465 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 丹治 昭義: "祇園精舎建立縁起の一考察" 『祇園精舎』. 467-506 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 橋本 征治: "サヘ-ト・マヘ-ト遺跡とその周辺地域" 『祇園精舎』. 507-532 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 米田 文孝: "サヘ-ト遺跡出土土器について(編年試案)" 『祇園精舎』. 533-583 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 米田 文孝: "サヘ-ト遺跡の煉瓦積建物の構造的変遷について" 『祇園精舎』. 585-615 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 網干 善教 他: "『祇園精舎』(本文・図版・附図〈3分冊〉)" 関西大学, 1,200 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] ABOSHI,Yoshinori: "About the origin of foundation of Jetavana in the Buddhist sutras" Jetavana, Excavation Report at Saheth Site. 415-465 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TANJI,Teruyoshi: "A study of the origin of foudation of Jetavana" Jetavana, Excavation Report at Saheth Site. 467-506 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] HASHIMOTO,Seiji: "Saheth-Maheth Site and its Peripheral Area" Jetavana, Excavation Report at Saheth Site. 507-532 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] YONEDA,Fumitaka: "Potteries at Saheth Site-Chronological Study" Jetavana, Excavation Report at Saheth Site. 533-583 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] YONEDA,Fumitaka: "Structural vicissitude of the Brick Buildings at Saheth Site" Jetavana, Excavation Report at Saheth Site. 585-615 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] ABOSHI,Yoshinori: Kansai University. Jetavana, Excavation Report at Saheth Site, 1-1,200 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 網干 善教: "マヘート遺跡調査概要" 日本歴史. 539号. (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 米田 文孝: "インドにおける土器製作技術〔II〕" 関西大学考古学研究室開設40周年紀念考古学論叢. (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 米田 文孝ほか: "仏教遺跡調査の歩みと祇園精舎〔II〕" 関西大学考古学等資料室紀要. 10. (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 古川 雅英: "PIXE法によるマヘート遺跡の土壌の微量元素分析" 放射線科学. (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 古川 雅英: "ヒンドスタン平原の土壌中に含まれる放射性核種の同定" 放射線科学. (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 網干・薗田・山岡・丹治・橋本・貝柄・米田ほか: "祇園精舎 日・印共同学術調査(1985-89)報告書" 関西大学, (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 網干 善教: "インド・祇園精舎(サヘ-ト)の仏教遺跡" 『仏教東漸』龍谷大学350周年記念学術企画出版編集委員会編. (1991)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 網干 善教: "舎衛城と祇園精舎(覚書5)ー仏典にみる祇園精舎創建縁起(3)ー" 関西大学考古学等資料室紀要第8号. (1991)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 網干 善教: "祇園精舎の発掘" 『仏教史学研究第34巻第1号』仏教史学会編. (1991)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 網干 善教: "祇園精舎伝流考" 『阡陵』関西大学博物館学課程創設三十周年記念特集. (1992)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 丹治 昭義: "実在と認識" 関西大学東西学術研究所刊, 333 (1992)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書

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公開日: 1991-04-01   更新日: 2017-10-06  

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