研究分担者 |
JHONSEN S. アイスランド大学, 教授
GUNDESTRUP N コペンハーゲン大学, 助教授
CLAUSEN H. コペンハーゲン大学, 助教授
HAGEN J.O. ノルウェー極地研究所, 研究員
藤井 理行 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (20125214)
牛尾 収輝 国立極地研究所, 北極センター, 助手 (50211769)
小西 啓之 大阪教育大学, 教育学部, 助手 (70178292)
青木 周司 国立極地研究所, 研究系, 助手 (00183129)
東 信彦 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70182996)
庄子 仁 富山大学, 理学部, 助教授 (50201562)
幸島 司郎 東京工業大学, 理学部, 助教授 (60183802)
亀田 貴雄 北見工業大学, 一般教育, 助手 (00233974)
高橋 修平 北見工業大学, 一般教育, 教授 (50125390)
CLAUSEN H コペンハーゲン大学, 準教授
和田 誠 国立極地研究所, 研究系, 助手 (40132716)
伊藤 一 国立極地研究所, 北極センター, 助教授 (80232461)
榎本 浩之 北見工業大学, 一般教育等・物理, 助教授 (00213562)
小林 俊一 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 教授 (70001659)
川田 邦夫 富山大学, 理学部, 助手 (20019003)
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研究概要 |
平成四年度の観測計画は観測地域,目的によって三つに分かれる。それぞれの観測計画は相互に関連するが,観測対象から(i)氷河・氷床コア中に含まれる気侯・および環境変動シグナルの堆積状況の地域比較、(ii)各種気候環境示標シグナルの堆積状態と堆積に至る素過程解憶および(iii)それらの堆積過程に関わる大気状態の観測。これらの観測は最終的には大気-雪氷間の相互作用として理解される。以上のような観測計画について次の三地点で観を行った。観測実積はそれぞれの地域毎に述べる。(i)グリーンランド氷床最頂部およびスバルバール諸島スピッツベルゲン島北西部の氷帽最頂部における過去数百年間の堆積層(雪氷コア)の堀削と解析,(ii)スバルバール諸島コングス半島,ブレッガー氷河における現在の気候環境下における各種シグナルの堆積過程の観測および(iii)同二-オルスン観測基地およびその周辺域での大気状態に関する観測。 (i)グリーンランド氷床の最頂部における氷床コア堀削と解析 グリーンランド氷都中央の最頂部(標高3230m)において107m深までの雪氷層堀削を行ない,過去300年に遡る良質な雪氷コアを得た。現地では層位解析(年々層の堆積状況,融解による氷層の発生頻度からの夏期気候の変動解析など)とともにバルク密度の測定から,フィルンの圧密過程における空隙率と載荷重との関係を明らかにした。得られた雪氷コアについての化学主成分や水の同位体組成分析のための試料を採集した。詳しい解析はコペンハーゲン大学との共同研究として進めていく予定である。また本研究班の一名は,同地点で行なわれてたヨーロッパ科学財団のグリーンランド氷床コア研究計画(GRIP)に招待研究者として参加し,基盤に達する3200mコアの物性解析,特に力学的性質の研究を担当し,クラスレート水和物の分布状況などを明らかにした。 (i)スピッツベルゲン,クローン氷帽最頂部での氷河堀削 氷帽の最頂部で21m深および84m深までの雪氷層コアを採集し,堆積速度や火山活動シグナルなどを用いて年代決定を行なうとともに,各種気候・環境シグナルの抽出解析を行なった。表面積雪層試料採集をピットを用いて行ない,現在の気候下における大気中からの各種エアロゾルの混入過程とその後の成層過程および変質の諸過程の解析を行なった。これに関連し,氷河上において熱収支観測を行ない融雪水の発生量や発生後の浸透経路,滞水層の形成過程について観測した。氷河上における熱収支の広域状態の把握のために空中からの赤外カメラによる赤外温度分布を測定し,氷河全体の熱収支環境を明らかにした。 (ii)スバルバール諸島ブレッガー氷河における大気-雪氷相互作用に関する通年観測 ブレッガー氷河は二つの涵養盆をもつ複合型谷氷河で,氷河の基本諸過程(質量収支,熱収支,物質循環過程)の観測では,氷河全体を単純閉鎖系として扱うことができる。平成三年度春より通年観測を開始し,氷河上に質量収支および熱収支状態を明らかにした。氷河域全体を対象とし,冬期の降水量分布,全積雪中の主要化学成分,同位体組成分布の詳細な観測を行ない,融雪の進行に伴うこれら諸物質の存在量がどのように変化するかを明らかにした。北極圏における突然昇温や大気循環の変動に関連して,降水構成諸物質(エアロゾル起源物質)の変動解析を行ない,北半球起源の自然および人為生成物質の起源と大気中での輸送機構について知見を得た。融雪期の積雪層中に発生する各種藻類の種とその存在量については,新しい環境・気候シグナルとして,また生物生存環境として有効であることを確かめた。 (iii)二-オルスン基地およびその周辺での機器観測 炭酸ガス,メタン濃度および地上オゾン濃度の変化の連続観測を行ない南極昭和基地データと対比した。重直マイクロ波レーダーによって雲中の雲水量観測,赤外放射温度計による雲底高度観測の集中観測により,降水特性を明らかにした。北極圏供ヘイズの挙動解析のために降水の電気伝導度,酸性度の測定を行ない,大気循環との関連を明らかにした。
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