研究分担者 |
ニチタミョン チャロエン ソンクラ大学, 天然資源学部, 助教授
スティプラジット スマリ ソンクラ大学, 天然資源学部, 助教授
アンスハ゜ンチ サオワハ゜ ソンクラ大学, 天然資源学部, 講師
チッタポン プラサート ソンクラ大学, 天然資源学部, 副教授
岩熊 敏夫 国立環境研究所, 室長 (60124335)
高木 孝雄 東京農業大学, 農学部, 講師 (40078150)
福嶋 司 東京農工大学, 農学部, 助教授 (30111420)
桑原 連 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (80011899)
山口 征矢 埼玉大学, 教養部, 教授 (70114220)
橋本 伸哉 東京水産大学, 水産学部, 助手 (10228413)
NITITHAMYONG Charoen Faculty of Natural Resources, Prince of Songkla University
SUTHIPRADIT Sumalee Faculty of Natural Resources, Prince of Songkla University
ANGSUPANICH Saowapa Faculty of Natural Resources, Prince of Songkla University
CHITAPONG Prasert Faculty of Natural Resources, Prince of Songkla University
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研究概要 |
タイ国南部のソンクラ湖の中の南湖(Thale Sap Songkhla)に7つの観測点を設定し,各測点で透明度,水温,塩分,pH,栄養塩,有機物,重金属,DO,SS,クロロフィル,プランクトン,ベントス,光合成などについて調査研究した。 湖全体に主として粘土粒子によると考えられる濁りが顕著であり,このことはSSと強熱減量の測定結果からも底質からのまきあげあるいは周辺域からの流入によるものと判断されるが,水質分析に対して妨害となるため問題を残してはいるが,水温は28〜31℃,DOは6〜8ppm,pHは7〜9,塩分は0〜33%であり,吸光法による植物プランクトンのクロロフィルa濃度は2〜18mg/m^3程度であったが,12月には全般に高く,18〜45mg/m^3の値が得られた。また,2月には一部の測点で27mg/m^3が得られた。 植物プランクトンの光合成については,12月に光合成活性の予察的測定を試みた結果,比較的高い活性(Pmax25〜30mgO_2/Chl,a mg/hr)をもつことが推測された。さらに2月には試水採取後般上で直ちにインキュベ-ションを行なって処理した結果,さらに高い活性(Pmax38mgO_2/Chl,a mg/hr)が得られ,強光阻害を示すこともあることが明らかになった。 底生動物については,全測点を通じて引種が出現し,1測点で5〜15種,個体密度は120〜1170/m^2であった。種類数,分布密度ともに沿岸内渡域でこれまでに得られている値に比べて少なく,とくに分布密度は沿岸内渡域の1/10〜1/100であった。種類数は環形動物多毛類,貝類,甲穀類ともほぼ同数に近く,出現種は生物地理学上インド太平洋区域に産する熱帯・亜熱帯性の種類が多かった。また,食性上から出現種をみると,懸濁粒子などが沈降堆積した堆積動摂食型の種が最も多く,一部の雑食性,動物食性の種もみられた。種類数,分布密度の値からソンクラ湖の底生動物の分布傾向をみると,概して湖中央および西岸側が生物相が豊富で,東岸側および外海と連絡する水路部では貧弱な傾向がみられた。このことから,塩分の変動が著しく,流れが速いと思われる東岸と水路部が底生動物の生息と再生産に大きな環境ストレスを与えていることが推測される。 懸濁物質(SS)については,2月の測定結果から,44〜127mg/lの範囲にあり,強熱減量の値が12〜19%と20%以下であることから,濁りは底泥の巻きあげによるシルトに大きな原因があると推定される。また,湖の周辺の森林の伐採により,上流からの流入とともにこれらからも土壌粒子が運びこまれ,湖水のシルト化(汚濁)が起つている可能性もある。 湖水中の重金属元素については,St.6の表層水についての測定結果から,Mgが49.6ppm,Caが19.8ppmと高く,次いで,Siが6.10ppm,Alが1.30ppmであり,Srは0.306ppm,Bは0.252ppm,Feは0.382ppm,Bqは0.0112ppm,Gaは0.0168ppmと低く,ZnとCuはNDであった。
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