研究分担者 |
IVETA PIMENT カルフォルニア大学, ロス分校・物理学科, 助手
SHLOMO ALEXA ワイズマン研究所, 物理化学部門, 教授
ROBIN BRUINS カルフォルニア大学, ロス分校・物理学科, 教授
RAYMOND ORBA カルフォルニア大学, リバーサイド校, 学長
大月 俊也 福井大学, 工学部, 教授 (10203845)
松下 貢 中央大学, 理工学部, 教授 (20091746)
矢久保 考介 北海道大学, 工学部, 講師 (40200480)
PIMENTAL Iveta University of California, Physics Dept., Research Associate
ALEXANDER Shlomo The Weizman Inst. of Science, Dept. of Chemical Physics, Professor
BRUINSMA Robin University of California, Physics Dept., Professor
ORBACH Raymond University of California, Riverside, Chanceller
IVETA Piment カルフォニア大学, ロス分校・物理学科, 助手
SHLOMO Alexa ワイズマン研究所, 物理化学部門, 教授
ROBIN Bruins カルフォニア大学, ロス分校・物理学科, 教授
RAYMOND Orba カルフォニア大学, ロス分校・物理学科, 教授
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研究概要 |
自己相以性を育する(フラクタル)系が多くの関心を集めてきた。物理学における重要な課題の一つはこれらの系の動的側面に関するもので,フラクタルという概念から系のダイナミクスを支配する一般法則を見出す事である。物性物理学で特に関連深いのは,統計平均的な意味でフラクタル性を育するパーコレーション系である。この系は例えば,半導体の不純物電気伝導,アモルファス材料,固体高分子,ゲル,磁性合金,あるいは超微粒子凝集対等多くの異なる対象に対して適用できる基本的な模型である。この系における励起状態はフラクトンと呼称され,その波動関数の形状が際だった強い局在性(Anderson局在とは異質の)を示す。この局在励起状態の特性を解析的に明らかにする事は困難であった。 本研究の目的は,ランダム及びフラクタル構造に固有な動的諸性質を,スーパー・コンピュータを用いた大規模シミュレーションにより解明することである。フラクタル構造,特にパーコレーション系ではフラクトン次元がd_f,その動的性質を記述する上で重要な役割を担う。平成3年度においては,ランダム・フラクタル構造のDOS,分散関係,局在等の動的諸性質をスパコンを用いた大規模シミュレーションによって明らかにしてきた。平成4年度においては,スーパーコンピュータおよび我々が開発して並列計算向きアルゴリズムを用いて10^6個のサイト数を有する巨大パーコレーション系のシミュレーションを行った。最初に2次元および3次元規則格子上にサイト数が10^6を超える巨大パーコレーション・クラスターをモンテ・カルロ法を用いて作った。次に周期的外力による共鳴を利用した並列計算向きアルゴリズムを用い,これによりベクトル変位を持つパーコレーション・クラスターのモード・パターンをスーパー・コンピュータで数値計算し,動的構造因子S(q,ω)の計算を行った。その際、固有振動数ω及び波数qをそれぞれ変えて計算した。結果を(q,ω)平面上でスケーリングしてやると単一長スケーリング仮説のもとでよく説明できることが分かった。これに並行して大規模な行列の固有ベクトルを数値的に求めるためのアルゴリズムと,計算されたモードの単色性を判定するための判定基準について研究し,大きな発展をみた。我々が開発したアルゴリズムでは,与えられた行列に対応する振動系を想定し,この系の周期的外力に対する共鳴現象を利用する事で,行列を対角化する事なく,固有ベクトルを計算する。この方法に対する実際のプログラムは高度にベクトル化することが可能で,スーパーコンピュータを利用すれば10^6×10^6行列の固有ベクトルを数10分で計算すできることが判明した。また,獲られたモードに対し定義される量δを評価することにより,他のモードがどの程度混在しているかを定量的に見積ることができるようになった。また,現実の物質内で例記されるベクトル・フラクトンの状態密度およびモード・パターンを計算し,ユニバーサリティ・クラス,局在性など,スカラー・フラクトンとの差異を明確にすることができた。以上のように,平成4年度において,10^6個のサイト数を扱えるアルゴリズム(強制振動法)を用い大規模シミュレーションを行った。このアルゴリズムは,極めて高い汎用性を有し,簡単あ拡張で任意のエルミート行列の固有値問題を扱うことが可能である。平成4年度においては,パーコレーション系の動的構造因子の大規模計算を行い,大きな成果を上げた。動的構造因子S(q,ω)の計算の重要性は,散乱実験により直接観測できるということばかりでなく,ランダム・フラクタル構造に対して極めて重要な概念であるSLS(single length scaling)仮説を明確に実証できる物理量でもあるからである。この意義について平成4年度において,オーバック教授を招へいし,結果の解析を徹底的に行った。また上記に研究をレヴューとしてまとめるため,論文内容の打ち合せのため代表者と共同研究者がアレキサンダー教授を訪問した。
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