研究課題/領域番号 |
03044015
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
金川 弘司 北海道大学, 獣医学部, 教授 (00111162)
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研究分担者 |
ABAS MAZNI O マレイシア農業開発研究所, 主任研究員
菱沼 貢 北海道大学, 獣医学部, 助手 (30183578)
森 裕司 東京大学, 農学部, 助教授 (40157871)
高橋 芳幸 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (70167485)
金井 幸雄 筑波大学, 農林学系, 助教授 (40015871)
JAINUDEEN M. マレイシア農業大学, 獣医畜産学部, 教授
TAKAHASHI Y. Faculty of Veterinary Medicine, Hokkaido University (Associate Professor)
MORI Y. Faculty of Agriculture, The University of Tokyo (Associate Professor)
KANAI Y. Institute of Agriculture and Forestry, University of Tsukuba (Associate Professo
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1991年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | マレイシア / 在来家畜 / 水牛 / 胚移植 / 体外受精 / 胚のガラス化 / 染色体 / LHパルス |
研究概要 |
今回プロジェクトでは、91年8月に日本側から5名の研究者をマレイシアに派遣し、マレイシア農業大学のJainudeen教授をはじめとする獣医畜産学部のスタッフおよびマレイシア農業開発研究所のABAS MAZNI主任研究員らと胚移植技術に関する共同研究を行った。また、11月にはJainudeen教授を日本に招へいし、体外受精、胚凍結ならびにホルモン測定に関する実験を行うとともに、今回の試験結果と今後の計画などを討議した。 マレイシアにおいて行った研究は、在来牛ならびに水牛の体外受精に関する実験、染色体を用いた胚の性別判定に必要な基礎実験として水牛染色体構成の解析試験、在来家畜(とくに羊)のLHパルスの測定実験、さらに在来牛と水牛の胚の急速凍結およびガラス化の検討を行った。それぞれの試験概要と成果は以下のとおりである。 1.体外受精に関しては、マレイシアで最も一般的な沼沢水牛とKedahーKelantan牛(Zebu)を用いて実験を行った。とくに育種改良の加速を考慮して子牛卵巣子の活用の可能性も検討した。その結果、沼沢水牛では未成熟卵子の体外成熟率は約50%であり、牛(Bos taurus)に比べ低く、牛の卵子体外成熟法をそのまま応用できないことが示唆された。水牛の体外受精率は牛とほぼ同様であったが、雄牛による受精率の差異などの問題があるため、現在実験を継続している。さらに、沼沢水牛の体外受精卵を卵管上皮細胞とともに培養(共培養)を行った結果、桑実胚まで発育することは確認されが、胚盤胞は得られなかった。沼沢水牛ならびにKedahーKelantan牛の体外受精に関する研究は、現在マレイシア農業大学を中心にプロジェクトを継続している。 2.胚の凍結保存に関しては、マレイシア農業開発研究所との共同研究を行い、我々が新しく開発したガラス化溶液を用いてSahiwalとFreisianの雑種牛の胚を冷凍保存した。これらのガラス化胚の一部はrecipient牛に移植して、すでに受胎が確認されている。現在マレイシア農業開発研究所を中心に牛および水牛胚のガラス化試験を継続している。 3.染色体分析については、現在水牛の染色体分析法が確立されていないことから、まず基本的な染色体構成を明らかにする目的で、高精度分染法(Highーresolusion banding technique)を用いて検討した。その結果、250ー650バンド期の分染パタ-ンが得られた。また、沼沢水牛のNo.1染色体は河川水牛のNo.4とNo.9染色体が融合したものであり、その融合場所は1q19あるいは1q19と1q110の間であることが判明した。現在この染色体分析法を用いてさらに細かな分析、同定の実験を進めている。 4.在来家畜のLHパルスの測定 近年マレイシアで飼養頭数の増加している羊に焦点を合わせて、非発情期から発情期への移行や卵子の発育、排卵に深く関与するLHパルスについて検討した。実験ではLHパルスの変動をとくに"Male effect"を中心にして検索した。すなわち、分娩後の非繁殖期にある雌羊を雄と同居させ、その際に起こるLHパルスの変動について10分間隔で8時間継続して血液サンプルを採取した。採取サンプルの放射性同位元素を用いた測定(RIA)は、試薬の不活化などで8月の派遣時には実施できなかった。そのため、RIAの問題点をJainudeen教授の来日時に検討し、現在再度測定を行うとともに、繁殖期ならびに移行期のLHについても検討を加えている。
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