研究分担者 |
YARZABAL Lui ウルグアイ共和国大学, 衛生研究所, 教授
YEATS Terry ニューメキシコ大学, 生物学部, 教授
ANDERSEN Fer ブリガムヤング大学, 動物学部門, 教授
ROBERT Rausc ワシントン大学, 医学部, 教授
野中 成晃 学術振興会, 特別研究員
岡本 宗裕 大阪大学, 医学部, 助手 (70177096)
ウイ ホンキェン (OOI Hong Kea / ウイ ホンキニン) 北海道大学, 獣医学部, 助手 (40223440)
奥 祐三郎 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (60133716)
安野 正之 国立環境科学研究所, 生物環境部, 部長 (10109902)
YATES T.L. Professor, Department of Zoology, University of New Mexico, U.S.A.
ANDERSEN F.L. Professor, Department of Zoology, Brigham Young university, U.S.A.
RAUSCH R.L. Professor, School of Medicine, University of Washington, U.S.A.
OOI Hong Kean Instructor, Faculty of Veterinary Medicine, Hokkaido University, JAPAN
マセリ ロベルト ピー サンカルロス大学, 医学部, 教授
マルザバール ルイス ウルグァイ共和国大学, 衛生研究所, 教授
イェーツ テリー エル 全米科学財団, 系統分類学部門, 部長
アンダーセン フェロン ブリガムヤング大学, 動物学部門, 教授
ラウシュ ロバート エル ワシントン大学, 医学部, 教授
横畑 泰志 富山大学, 教養部, 講師 (60222387)
神谷 晴夫 弘前大学, 医学部, 教授 (70002079)
YATES Terry 全米科学財団, 系統分類学部門, 部長
KAZACOS Kevi パーデュー大学, 獣医学部, 教授
RAUSCH Rober ワシントン大学, 医学部, 教授
|
配分額 *注記 |
21,000千円 (直接経費: 21,000千円)
1993年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1992年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1991年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
|
研究概要 |
I.エキノコックスの環境適応性 a.エキノコックスの分子進化:エキノコックス分離株の(動物別、地域別)ミトコンドリアDNA(COI遺伝子,約350塩基)を近縁のテニア科条虫を含めてブ-ツストラップ法で比較した。多包条虫は北海道に分布するものとアラスカ・セントローレンス島分離株とは完全に一致していた。このことは北海道の多包条虫は比較的,最近,急激に分布拡大したと考えられる。また,ヨーロッパ単包条虫については分離株によって大きな差が認められ,別種とも考えられる多様性を示している。 b.終宿主の系統発生:エキノコックスの進化学的な適応性として寄生虫による宿主転換が重要な意味を持つと考え代替宿主モデルを用いた感染実験を行ったところ,ニューメキシコ産Heteromydaeの数種,とくにPerognathus属ポケットマウスにおいて成虫化の方向へ発育することを明らかにした。 c.中間宿主における適応性:多包虫感染時の中間宿主の免疫応答を明らかにするために,CB-17マウス(以下CB-17)のミュータントで,TおよびB細胞を先天的に欠損する重度複合免疫不全scidマウス(以下scid)を用い検討を加えた。 まず,scidおよびCB-17で多包虫感染のシストの発育を比較した。CB-17では幼虫の発育が抑制されたが,scidではその後急激にシスト重量が増加した。CB-17から得られた胸腺および脾臓細胞をscidに移入し,感染を行ったところシスト重量は抑制されていた。これらの実験の結果はリンパ球がマウス体内での多包虫の発育および成熟化に抑制的に作用することを示していた。 次に,B細胞の多包虫に対する影響を検討した。B細胞移入scidでは非移入scidに比べシスト重量の増加が認められた。そこで,多包虫感染CB-17の血清をscidに投与したところ,正常血清投与または無処置scidに比べ,よりシスト重量が大きくなり,多包虫に対する抗体が多包虫の発育を促進することが示唆された。 以上のことから宿主免疫系がエキノコックスの発育を抑制するだけでなく,その増殖を促進する可能性が示された。 II.防除手段に関する研究 a.ウルグアイにおける単包条虫対策:南米のウルグアイでは人の単包虫症は特に多く,100人あたり3人以上と考えられる。639頭のヒツジで42%のヒツジが単包虫陽性で,原頭節を有するヒツジは全体の5%で,毎日自家用屠殺を行っている田舎の飼いイヌは高頻度(20日に1回の割合)で感染する機会が有ることを明らかにした。 ヒツジ年齢別の調査では老齢のヒツジほど感染率は高く,原頭節は3才以上のヒツジからのみ認められた。イヌへの駆虫薬投与による従来の防除法に加えて,生活環維持におけるヒツジの重要性を示すことができた。 b.イヌの診断法の簡便化:糞便内抗原の検出による検査者に安全で感度などの点ですぐれているサンドウイッチELISA法を開発し,現在,抗原の性状の解析が実施されている。さらに虫体の排除誘導機構を解析し,終宿主(イヌ)のワクチン化が検討されている。また,新たにJICA事業による研究協力プロジェクトへ発展させる構想が本研究組織を中心に検討されている。
|