研究分担者 |
CHANTRELL R. キール大学, 物理学部, 教授
O'GRADY K. ノースウェールズ大学, 工学部, 講師
POPPLEWELL J ノースウェールズ大学, 化学部, リーダー
CHARLES S.W. ノースウェールズ大学, 化学部, リーダー
中塚 勝人 東北大学, 工学部, 教授 (60005345)
山根 隆一郎 東京工業大学, 工学部, 教授 (50016424)
小池 和雄 東北学院大学, 工学部, 助教授 (20108575)
棚橋 隆彦 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (70051638)
YAMANE R. Engng. Dept., Tokyo Institute of Technology, Professor
TANAHASHI T. Science and Engng. Dept., Keio University, Professor
KOIKE K. Engng. Dept., Tohokugakuin Univrsity, Assoc. Professor
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研究概要 |
磁性流体の応用開発面の研究を進める上で,磁場の作用下での磁性流体の管内流動特性を明らかにすることは重要な研究テ-マである。従来の研究では微粒子の一様分散を前提とした議論が多く,実験結果を的確に説明することが困難であった。 本研究組織では,最近,強磁場下での微粒子の凝集現象への関心が高まっていることに鑑み,その詳細な検討の上に,粒子の凝集をも考慮して管内流動特性を明らかにすること,さらに凝集しにくい磁性流体の製法の開発とその物性について検討することを目的に研究計画を進めた。 まず,微粒子の凝集現象の解明では,以前から英国側で粒子間に働く磁気力が主要因であるとして数値シミュレ-ションによる研究が行われてきていたが,特に水ベ-ス磁性流体での実験結果をより正確に説明するためには,磁気力のほかに,界面活性剤層間に疎水結合による引力機構が働き,粒子の凝集に重要な役割を果していることが明らかにされた。さらに,粒子間相互作用を考慮してコロイド中のクラスタ形成に関する三次元モンテカルロシミュレ-ションの研究が進められた。 また,粒子の凝集を考慮した管内流動特性に関する研究では,非一様磁場下の振動流の場合を対象にした理論解析が進められ実験結果を定性的に説明しうる結果を得ることができた。 次に,凝集しにくい磁性流体の製法の開発とその物性の研究では,日本側で最近,窒化鉄微粒子を含む磁性流体の合成により,飽和磁化が従来のものより3〜4倍も高い試料の作成に成功したことに刺激を受け,新しい磁性流体の耐熱性,耐酸化性や粘度特性の研究が活発化した。また,界面活性剤を用いないイオン性磁性流体の開発も進められ,その粒子の分散性が,粘度の測定結果から検討された。 その他,磁性流体の力学を記述する支配方程式の確立を目指しての基礎理論の展開や磁性流体の界面変形,感温磁性流体の強制対流熱伝達や沸騰熱伝達,そのヒ-トパイプへの応用などの伝熱制御の研究で新たな展開をみせた。 具体的な交流計画としては,1991年10月に日本側研究代表者神山教授と東北大学流体科学研究所の大久保助手が英国ノ-スウェ-ルズ大学及びキ-ル大学を訪問し,英国の磁性流体研究施設を視察し,また共同研究者達と討議を行った。1992年3月には英国側代表者チャ-ルズ博士が来日し,東北大学において研究発表会をもち,両国での研究成果に対する討議を行った。 以上の交流計画に基づく討議の中から,磁性流体の新しい応用機器開発のためにも,磁性流体中の微粒子の凝集現象の解明が重要であるとの点で意見の一致をみた。 なお,今後の共同研究の進め方についても話し合いが行われ,人的交流計画を進めるほか,英国側では凝集しにくく,高温環境下でも安定に作動する磁性流体の製法の開発とその磁化特性の研究を進めること,日本側では粒子凝集の理論モデルの構築と凝集現象を考慮しての管内流動特性により詳細な検討を行うことで合意に達した。さらに,以上の基礎研究に基づき,磁性流体の新しい応用機器としてのエネルギ-変換装置,アクチュエ-タ,ダンパ-などの開発研究を進めることにした。
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