研究課題/領域番号 |
03044025
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
大嶋 重利 山形大学, 工学部, 助教授 (40124557)
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研究分担者 |
GEERK J. カールスルーエ原子核研究センター, 主任研究員
RINKER G. カールスルーエ原子核研究センター, 主任研究員
佐藤 力哉 山形大学, 工学部, 助手 (30187257)
高橋 幸司 山形大学, 工学部, 助教授 (00134023)
奥山 克郎 山形大学, 工学部, 教授 (70007011)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1991年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 酸化物超電導薄膜 / スパッタリング / MOCVD / 高周波表面抵抗 |
研究概要 |
酸化物超電導体を高周波デバイスに応用する場合には、高周波表面抵抗の小さい試料を作製する必要がある。その為には、高品質薄膜の作製技術の確立と高周波表面抵抗の測定法の確立が重要である。本年度は次の点に重点をおいて山形大学工学部とドイツ連邦共和国のカ-ルスル-エ原子核研究センタ-と共同研究を行なった。 (1)高品質薄膜の作製技術の確立 山形大学では、主としてMOCVD薄膜の作製、カ-ルスル-エ原子核研究センタ-では、円筒タ-ゲット型マグネトロンスパッタリング法によりYBCO薄膜の作製について検討した。MOCVD法ではCVD原料の加熱温度、キャリアガスの流量、基板温度、反応ガス圧力等の最適化を検討しバルク試料と同程度の超電導臨界温度を有する薄膜が得られている。また基板にYSZを用い50×50mm^2の大面積薄膜の作製に成功し、高周波デバイス応用の可能性を示した。このサイズの薄膜は現在では世界的にも成功した例がなく高く評価されている。 円筒タ-ゲットマグネトロンスパッタリング法により、エピタキシャルYBCO薄膜を作製し、その表面性をHe後方散乱により検討した。円筒タ-ゲット型マグネトロンスパッタリング装置は、カ-ルスル-エ原子核研究センタ-のG.Linkerのグル-プが発表した装置であり、タ-ゲットと薄膜の組成のずれが少ないこと、2次電子照射による膜中欠陥が少ない等の利点がある。G.Linker等はSTO、MgO基板上にYBCO薄膜をエピタキシャル成長させその原子配列をHeイオンチャネリング法により測定した。その結果表面数原子層において原子の乱れがあるものの、内部ではほぼ完全なエピタキシャル成長した薄膜唱っていることを確認した。 (2)高周波表面抵抗の測定 高周波表面抵抗の測定を、マイクロストリップ線路共振法により測定する技術を確立した。このストリップ線路共振法は、周波数0.5〜10GHz帯で測定可能であり、比較的面積の広い試料を精度よく測定できる手法である。高周波表面抵抗を測定する為のストリップ線路を、ドクタ-ブレ-ド法、スクリ-ン印刷法により作製した。その結果、超電導状態における表面の抵抗を精度よく測定できることを確認した。 (3)バッファ層の検討 現在、酸化物超電導体薄膜を作製する場合、MgOやSTO等の超電導体と反応性の少ない基板を用いている。しかしながら、高周波デバイス等の応用を考えると、シリコンやサファイヤ等の平滑で大面積化が容易な基板上に薄膜を形成する必要がある。しかしながら、シリコンやサファイヤ等はYBCOと激しく反応し、直接その上に薄膜を形成するのは困難である。その反応性を押さえる為に適当なバッファ層が必要である。我々はNdGaO_3を形成させる条件を検討した。その結果、高周波マグネトロンスパッタリング法によりNdGaO_3を形成し700℃熱処理を施すことにより、配向した薄膜が得られることを確認した。 以上、山形大学工学部とカ-ルスル-エ原子核研究センタ-との共同研究により、高周波デバイスの為の基礎的な検討を行い多大な成果を得ている。平成4年度以降においても薄膜形成技術、その評価及び高周波デバイスに関して共同研究を進めていくつもりである。
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