研究分担者 |
J LEARNED ハワイ大学高エネルギー物理グループ, 教授
上原 貞治 高エネルギー物理学研究所, 助手 (70176626)
林野 友紀 東北大学, 理学部, 助手 (10167596)
山口 晃 東北大学, 理学部, 助教授 (60004470)
田中 昌 東北大学, 理学部, 教授 (70004306)
北村 崇 近畿大学, 理工学総合研究所, 教授 (10013426)
小早川 恵三 神戸大学, 発達科学部, 教授 (00031287)
三井 清美 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (80013340)
岡田 淳 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (90013341)
LEARNED John University of Hawaii
山本 勲 岡山理科大学, 工学部, 助教授 (50090220)
JOHN Learned ハワイ大学, 物理天文学科, 教授
作田 誠 高エネルギー物理学研究所, 助手 (40178596)
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研究概要 |
本研究は日米欧の研究者が参加する国際共同研究であり,日本のグループは主に観測装置の‘目'である光検出器の部分を担当している。参加グループの作業分担の進捗状況を把握し,その後の作業予定を検討するために年4回共同研究者会議の機会を設けている。その内の1回の会議は日本国内で開いた。平成5年の秋より観測装置を設置する作業を開始する予定でありその準備作業を行った。 1).光検出器の準備; 昨年に引き続き15吋光電子増倍管,17吋硝子製の耐圧容器,附属電子回路,磁気シールドネットなど,光検出器の組み立て部品を2-ストリング分用意した。光電子増倍管に関しては増幅度,ノイズレベルの他,1光電子レベルでの波高分布,時間分布及び検出効率を測定した。附属電子回路はノイズレベルを減らすためアース回路などパターンの変更を若干行い,また回路を動作させるためのソフトを汎用性のある0S9に変更した。光検出器として組み立てる前に恒温層の中で100時間の動作試験を行った。 観測装置を海底に設置する際の洋上作業を考慮して,光検出器の振動試験を行った。光電子増倍管はシールドネットで覆った後シリコンジェルを充填することにより耐圧容器に固定している。又,附属電子回路はプラスチック製のリングを使って光電子増倍管に固定している。一定の加速度(±2G)の下で周期を変えて(20,10&5Hz)振動を与え,これらの固定方法に問題がないことが分かった。又,光電子増倍管自身の機械的な強度を調べるためコンクリート床への落下試験を行った。その結果,200〜400gで電極取り付け部であるステムにクラックが生ずること,>1000gでバルブ全体が破壊に到ることなどが分かった。 組み立てが終った光検出器は実験基地であるハワイ大学に送り,現地で用意された水タンクを使って較正試験を行った。テストに使う光源は宇宙線が水中で放射するチェレンコフ光である。この作業と平行して,検出器に附属する電子回路と現地で用意されている信号処理回路との整合性のテストを行った。 2).シミュレーション; 高エネルギーニュートリノ源としては活動的銀河核(AGN)が最も有力視されている。1992年3月にハワイ大学に於いてHigh EnergyNeutrino Astrophysicsに関するWorkshopが開かれ,AGNを源とするニュートリノのエネルギースペクトル及びその強度が検討された。その結果を考慮してDUMAND Arrayによって検出が期待される事象数を計算した。ニュートリノ点源探索にノイズとして最も寄与が大きいと考えられる大気ミューオンによる影響を検討した。AGNにより放射されるニュートリノはスペクトラムがハードであると考えられ,カスケードによってニュートリノ信号を検出する際の観測装置の性能を検討した。他に,地球に捕捉されたNeutralinoが対消滅する際に放出されるニュートリノを観測し,Cold Dark Matterを検出する可能性を検討した。 3).バックグラウンド光; 深海での1光電子レベルでのバックグラウンド光については光電子増倍管を使ったデータがある。生物発光による寄与を検討するため高感度ビデオカメラにより発光像の観測を行った。観測場所はハワイ島沖合と日本近海の犬吠崎沖である。前者では 4500,3500,2500mで,また後者では 5000,4000,3000mで観測実験が行われた。生物によるバックグラウンド光の強度は時間的な変動が大きいこと,又その平均値は深さと共に減少することが再確認された。ハワイ沖での強度は犬吠崎沖のそれに比して(*10)倍ほど小さい。 その他,平成5年秋から観測装置を海底に設置する為に DUMANDsiteでの準備作業として,1).現場の mapping,2).海流の測定,3).core sampling,4).CTD 測定,5).transponder netの設置,6).DSVによるケーブル括栓の on-off の訓練,などを行った。
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