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酵素機能の基磯的理解と合成化学への応用

研究課題

研究課題/領域番号 03044077
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関京都大学

研究代表者

富士 薫 (冨士 薫)  京都大学, 化学研究所, 教授 (20027056)

研究分担者 TORBJORN NOR  ストックホルム王立工科大学, 教授
川端 猛夫  京都大学, 化学研究所, 助手 (50214680)
田中 圭  京都大学, 化学研究所, 助教授 (50093266)
村井 章夫  北海道大学, 理学部, 教授 (20000838)
NORIN Torbjorn  Department of Organic Chemistry, Royal Institute of Technology, Sweden
TORBJORN Nor  ストックホルム王立工科大学, 教授
研究期間 (年度) 1991 – 1992
研究課題ステータス 完了 (1992年度)
配分額 *注記
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1992年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
キーワードリパーゼ / ペルオキシダーゼ / メソ-アジリジン / シス-ジ置換アジリジン / 異常アミノ酸 / ベスタチン / 不飽和ジオール / ブロモエーテル化 / リパ-ゼ / エステル交換反応 / アジリジン / アミノアルコ-ル
研究概要

エステラーゼ,リバーゼ,およびオキシダーゼ等の酵素は加水分解や酸化などの基本的かつ重要な化学反応を制御している。本研究計画ではそれらの触媒機能解明や有機合成化学的利用を目的とした。特に酵素化学の基礎的データの蓄積の一環として,エステラーゼおよびリパーゼを用いるメソ型アジリジンの光学活性体への変換,及びペルオキシダーゼを用いる不飽和ジオールのエーテル環化を検討した。
1,エステラーゼおよびリパーゼを用いるメソ型アジリジンの光学活性体への変換,及びそれを用いる生理活性天然物の合成 光学活性シス-ジ置換アジリジンは生理活性物質,例えば抗腫瘍剤マイトマイシンCやFR-900482などの構成要素として存在し,生理活性発現に極めて重要な役割を担っている。光学活性シス-ジ置換アジリジンの合成は現在までにL-methionine等のアミノ酸を出発原料として用いる方法などが知られているが,酵素による合成法は知られていない。そこでσ対称なメソ-ビス(アセトキシメチル)アジリジンを市販のcis-2-butene-1,4-diolより合成し,その一方のアセチル基のみを酵素加水分解することによるクラルアジリジンの合成を検討した。エステラーゼおよびリパーゼとしてCCL,PPL,PLE,AmanoPを用いて検討を行った。有機溶媒中(ジイソプロピルエーテル)求核剤としてブタノールを用いるエステル交換法を検討した結果,安価で入手容易なリパーゼであるAmanoPを用いて化学収率66〜76%,エナンチオ選択性95〜98%eeにて目的とする光学活性シス-ジ置換アジリジンを得ることができた。またアジリジン窒素の保護基はベンジルオキシカルボニル基(95%ee),トシル基(98%ee)ともに良好な結果を与えた。さらに,セライトに吸着させた本酵素を用いると立体選択性を低下させることなく反応時間を10倍以上短縮できることも分かった。以上のようにして光学活性シス-ジ置換アジリジンを簡便かつ大量に得る方法を確立できたので,次にこれらのアジリジンをキラルビルディングブロックとして用いる生理活性物質の合成を検討した。アジリジン環の水酸基による分子内求核置換反応によって得られるアミノアルコール誘導体を用い,抗腫瘍剤ベスタチン及び強力なレニン阻害作用を持つペプチドのそれぞれの構成異常アミノ酸を合成した。
2,ペルオキシダーゼを用いる不飽和ジオールのエーテル環化 海洋生物,特に海藻がハロゲンを多く含んでいることは古くから知られていたが,どのような経路でハロゲンを取り込み,どのような形で蓄え,どのような機能をその生体で有しているのかは,極めて興味深い問題である。本研究計画ではこの問題に関する酵素的研究を行った。ソゾ属の海藻に臭素を大量に有機化合物として取り込んでいる種があるが,その取り込み形態あるいはその機構について関与する化学種がBr^+かBr^-かが.明らかになっていなかった。今回我々は,Br^+と想定した。ハライドイオンを酵化してハロゲンイオンにすることができる酵素は,ペルオキシダーゼといわれる一群の酵素であることが明らかになっている。この酵素の一種であるLPO(ラクトペルオキシダーゼ)を用い,過酸化水素を第一基質,ゲラルニオールを第二基質として酵素反応を行った結果,対応するブロモヒドリンが高収率で得られたが成績体はラセミ体であった。即ちペルオキダーゼは不斉発生源としてはかなり原始的な酵素であることがわかった。次にLPOによる不飽和ジオールの環化反応を検討した。種々の不飽和ジオールをLPOおよび過酸化水素の存在化NaBrで処理したところ,ブロモエーテル体と末同定のブロモヒドリン混合物が得られた。ジオールの構造に対応してそれぞれ位置選択的に5員環エーテル,あるいは8員環エーテルが得られた。8員環エーテルの選択的生成は,エントロピー的に不利な中員環エーテル閉環も酵素的に可的である事を示している。事実,極めて不安定な(6R,7R)-laurediolを前述の酵素反応に付したところ,生成物は8員環エーテル構造を持つ天然品Deacetyllaurencinと一致した。このようにLPOは,ブロモヒドリンの不斉構築には適さないことがわかったものの,Br^+発生源として有用であり,オレフィンジオールのブロモエーテル化に極めて有効な酵素であることがわかった。

報告書

(2件)
  • 1992 研究成果報告書概要
  • 1991 実績報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (9件)

  • [文献書誌] A.FUKUZAWA: "Prelaureatin,a New Biogenetic Key Intermediate Isolated from Laurencia nipponica" TetrahedronLett.32. 5597-5598 (1991)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1992 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] A.FUKUZAWA: "Enzymatic Single-step Formation of Laureatin and Its Key Intermediate,Prelaureatin from(3Z,6S,7S)-Laurediol" TetrahedronLett. 33. 2017-2018 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1992 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] T.KAWABATA: "An Enantiodivergent Synthesis of Threo β-Amino Alcohols:Preparation of Key Intermediates for Bestatin and The Related Peptides" TetrahedronLett.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1992 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] A.FUKUZAWA: "Biogenetic Intermediates,(3E and 3Z,12Z)-Laurediol and (3E and 3Z)-12,13-Dihydrolaurediols,Isolated from Laurencia nipponica" Phytochemistry.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1992 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] A.Fukuzawa: "Prelaureatin, a New Biogenetic Key Intermediate Isolated from Laurencia nipponica" Tetrahedron Lett.32. 5597-5598 (1991)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1992 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] A.Fukuzawa: "Enzymatic Single-step Formation of Laureatin and Its Key Intermediate, Prelauretin from (3Z,6S,7S)-Laurediol" Tetrahedron Lett.33. 2017-2018 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1992 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] A.Fukuzawa: "Biogenetic Intermediates, (3E and 3Z,12Z)-Laurediol and (3E and 3Z)-12, 13-Dihydrolaurediols, Isolated from Laurencia nipponica" Phytochemistry.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1992 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] T.Kawabata: "An Enantiodivergent Synthesis of Threo beta-Amino Alcohols ; Preparation of Key Intermediates for Bestatin and The Related Peptides" Tetrahedron Lett.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1992 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kaoru Fuji: "A New Access to Chiral Aziridines by Enzymatic Transesterification of meso-Bis(acetoxymethyl)aziridines" Tetrahedron Letters. 31. 6663-6666 (1990)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書

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公開日: 1991-04-01   更新日: 2016-04-21  

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