研究課題/領域番号 |
03044085
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 保 京都大学, 防災研究所, 教授 (40027230)
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研究分担者 |
周 必凡 中国科学院, 成都山地災害環境研究所, 教授
唐 邦興 中国科学院, 成都山地災害環境研究所, 教授
康 志成 中国科学院, 成都山地災害環境研究所・東川泥石流観測研究所, 所長
呉 積善 中国科学院, 成都山地災害環境研究所, 所長
水原 邦夫 京都府立大学, 農学部, 助教授 (90026401)
水山 高久 京都大学, 農学部, 助教授 (00229717)
諏訪 浩 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00093253)
澤田 豊明 (沢田 豊明) 京都大学, 防災研究所, 助教授 (60027258)
ZHON Bifan Academia Sinica, Mountain Disaster of Environment, Prof.
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1992年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1991年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 粘性土石流 / 発生条件 / 流動機構 / 観測研究 / 間欠性 / 災害対策 / データベース / 日中共同研究 / 土石流 / 間歇性土石流 / 土石流対策 / 比較研究 / 日・中共同研究 |
研究概要 |
日本では殆ど例のない粘性の強い土石流の発生機構ならびに流動機構を解明し、同時に、日中両国の土石流について同じ基準の基に作成されたデータベースを作成して比較研究を行うとともに、災害対策を立てる際の土石流規模の考え方を提案し、さらに、具体的な日中両国の土石流災害対策の考え方を整理検討し、新たな対策工法を提案する事を目的として研究を行った。 土石流の発生機構および流動機構に関しては、現地での観測研究と実験による基礎的研究の二通りの手法を用いたが、観測研究では、この種の土石流は日本では発生していないので、専ら中国雲南省の東川市近郊に設けられた中国科学院成都山地災害環境研究所の東川泥石流観測研究所の試験流域での日中共同観測によって研究を進めた。幸い、3年間に、5回の土石流を観測することができ、土石流発生の降雨条件の日本で多発する石礫型土石流との比較研究により、粘性土石流が流域の荒廃度と微細な構成材料の卓越性によって、きわめて小さい降雨規模で発生できることを明らかにした。また、降雨時に流域内各地のいたるところで斜面崩壊や渓岸崩壊が発生し、これが粘性土石流の一大特性として注目される間欠性の発生原因となることが明かとなった。粘性土石流の流動特性は、この間欠性と流動深の減少に伴う停止にあるが、流動のビデオ観測から、間欠性の周期と各波の規模との関係、波高と流下速度の関係等が明確となり、石礫型よりもはるかに流動性に富む抵抗特性が求められた。土石流材料の採取とそのレオロジー特性試験によって、粘性や降伏応力も求められた。堆積特性と土石流の通過による流路の変動特性に関しては、3年間に測量を繰り返して、実態が把握された。 粘性土石流の流動機構に関する理論的・実験的研究では、粘土スラリーと粗粒子の混合物のせん断によって、粘土スラリーに一種の振動流が発生し、これが粗粒子を流れの中に分散させる原因となるとともに、流れの見かけ上の粘性係数の増大に重要な寄与をする事をつきとめ、開水路における流動機構の定量的議論を行い、実験による検証を行った。流動時の間欠性の発生原因として、間欠的な崩壊による材料の供給が重要であることが現地調査で確認されているが、流れの停止と流動が繰り返す流動機構上の可能性に関して、一旦停止した材料の上に、ある流量の土石流が連続的に供給されたとき、ある波長をもった波列状の流れが形成される可能性の有ることが理論的に明らかにされた。中国側分担者は、別の観点から流動機構の議論を行い、蒋家溝の土石流の模型実験を相似律の議論を通して行い、実際現象が模型上でよく再現されることを明らかにした。 日本の土石流データ818、中国の土石流データ269を収集して、土石流データベースを作成し、日中の地質別土石流発生頻度の比較研究、土石流による流出土砂量と流域面積、崩壊土量、最大洪水流量との関係の比較研究を行い、多数の実績の統計データを基とする対策計画樹立のための計画土砂量の予測式を新たに提案した。 土石流対策に関する日中の考え方の比較研究、および実際の土石流対策の状況とそれらの効果の評価を日中双方の現地調査を互いに行いながら実施した。中国では森林の土石流発生抑制効果に期待する面が強く、日本では土石流流下途中での砂防ダム等の構造物による制御効果に期待するという違いがあることが分かり、それには両国の森林の現状が大きく影響していることが推察された。流下途上での土石流制御の新工法として、流路底面から水を抜いて土石流を停止させる方法について、その効果を現地での試験をもとに定量的に評価している。石礫型土石流に対しては、顕著な効果が有ることが確かめられたが、粘性土石流に関しては、中国の大規模実験水路で初歩的な実験を行ったが、本格的なデータを得るまでには至らなかった。
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